上司に声がけする際に「さん付け」が望ましいという回答が大幅増加

多くの職場ですべての従業員について「さん付け」で呼ぶという動きが強くなっていますが、文化庁の「国語に関する世論調査」の中でも、「会社の課長に部下が呼び掛けるとき、どの呼び方が一番望ましいと思いますか。」という設問が設けられています。そこで本日はこの結果を紹介すると共に、その背景や今後の対応について考えてみたいと思います。

今回公表された2025度の調査では、部下が課長を呼ぶ際の望ましい呼び方として、役職名である「課長」が62.9%となっており、これが基本形として定着していることが伺えます。一方で注目すべきは、かつて一定数存在した「課長さん」という呼び方が1996年度の27.2%から2025年度には6.4%へと激減している点です。これに代わるように、名字に「さん」を付ける呼び方(「〇〇さん」)が8.8%から25.5%へと約3倍に急増しています。

この背景には、過度な丁寧さや曖昧さを避ける意識の高まりとともに、フラットで心理的安全性の高い職場環境をめざす「さんづけ運動」やダイバーシティ推進の広がりがあります。役職を固定的な上下関係の象徴ではなく、「役割」として捉える企業文化が増えていることの表れと言えるでしょう。

企業としては、単にルールの統一を目指すのではなく、自社の目指す組織風土に合致した呼び方を検討することが大切です。役職で呼ぶことで責任と規律を明確にするのか、「さん付け」で対話のハードルを下げ風通しの良さを高めるのか。呼び方一つをきっかけに、自社のコミュニケーションのあり方や心理的安全性の向上について、一度見直してみてはいかがでしょうか。


参考リンク
文化庁「国語に関する世論調査」
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/index.html

(大津章敬)