最高裁 遺族年金の支給対象者の妻は「内縁の妻」と判断

 本日、最高裁判所で「遺族共済年金の支給を受けるべき配偶者に当たるのは内縁の妻」という判決が出された(平成17年4月21日 第一小法廷判決 平成16年(行ヒ)第332号 遺族共済年金不支給処分取消請求事件)。

 

 遺族年金の第一受給権者は妻と国民年金法及び厚生年金法で定められている。今回の裁判では、この「妻」について、戸籍上の妻であるか、同居をしていた内縁の妻かが争われた。この結果、同居の妻が遺族年金を受けるべき「配偶者」となった。

 

 判例の理由には、死亡した男性を「最期までその看護をした」、戸籍上の妻との「婚姻関係は実体を失って修復の余地がないまでに形がい化していたものというべき」とあり、事実関係を重視している。

 

 一方、健康保険法で取り扱う扶養に関しては、戸籍上の妻のみならず、内縁の妻も扶養として取り扱うことができる。この判例から遺族年金の支給についても戸籍上での判断ではなく、事実関係を重視されるようになってきたことが分かる。

 

(宮武)