東京社労士会が社会保険庁の市場化テスト事業を1円で落札

 社会保険庁は、東京地区で厚生年金などの加入義務がありながら保険料などを納めていない企業を探し、加入させる事業(市場化テストのモデル事業)について、東京社労士会が1円で落札したと発表したというニュースが読売新聞に掲載されていました。ちなみに社会保険庁が見積もった予定価格は645万円だったとのこと。まあ個人的にはこのようなやり方はどうかとも思いますが、東京社労士会のホームページに会長名での声明文が掲載されており、話題性はありそうなので、以下で紹介しておきましょう。



(大津章敬)


声   明
厚生年金保険・政府管掌健康保険未適用事業所に対する
適用促進事業委託業務(市場化テストモデル事業)の開札結果ついて

平成17年5月13日
東京都社会保険労務士会
会 長  金 田  修

 平成17年4月28日(木)、厚生年金保険・政府管掌健康保険の未適用事業所に対する適用促進事業委託業務(市場化テストモデル事業)に対する開札が行われ、東京都社会保険労務士会が低廉な価格の入札であったとして保留となり、調査を求められた結果、本日、東京社会保険事務局より、「東京都社会保険労務士会が落札した」旨の通知があった。

 この結果は、東京都社会保険労務士会が社会保険庁から受託して、昭和61年度から携わってきた「未適用事業所巡回説明」に対する行政協力をしてきたことに対して正当な評価がなされたものである。東京都社会保険労務士会の会員である社会保険労務士が常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を実行してきたことが国民に広く理解された結果である。

 社会保険労務士は昭和43年に事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的として社会保険労務士法の創設・施行により、社会・労働保険の事務手続き代理・代行等、厚生労働行政への協力機関・団体として、唯一国家資格者として認められている。事実、資格創設以来、今日まで、労働・社会保険諸法令に基づく事務手続き、未適用事業所への加入勧奨手続き、また、未来を担う年少者たちへの年金教育など労働・社会保険への事務と制度の国民へのPR・浸透に貢献してきたものと自負している。

社会保険庁が示す社会保険業務の市場化テストのうち、厚生年金保険・政府管掌健康保険の未適用事業所に対する適用促進事業委託業務の対象社会保険事務所は、全国で5か所、うち東京都内3か所(港、渋谷、足立社会保険事務所)での実施であるが、東京都社会保険労務士会は、社会保険労務士として国家資格を持つ専門集団であることから、この結果を厳粛に受けとめ、これまでの知識・経験を充分に活かし、本事業を積極的に推進して行く所存である。

 未適用事業所に対する適用促進事業こそ、私達、社会保険労務士の基本業務の1つと考えており、事実、社会保険労務士法に基づく、事務代理業務として最も重要視してきた業務である。そこで今回の入札にあたり、種々の入札条件を当会として精査した上、他の入札業者と同じ観点、つまり、事業委託による事業利益を、民間事業として把握するのでなく、あくまで社会保険労務士として公的性格を重要視することとし、入札価格を一円で応札した。

 本日の落札の報告を受け、東京都社会保険労務士会は、労働及び社会保険に関する法の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発展とそこに働く人達の福祉の向上を使命としていることから、今後とも東京社会保険事務局が実施する未適用事業所に対する適用促進業務の推進に向けて努力することを決意表明するものである