政府税制調査会 退職所得控除の縮小などを打ち出す

 今日の日本経済新聞1面に「退職金課税を強化 短期雇用など優遇見直し~政府税調方針」という記事が掲載されました。これは以前より出ていた話ではありますが、ここでこの件に関するポイントをまとめてみましょう。
□退職金控除の縮小など、給与所得に比べ有利な取り扱いがされている退職金税制を改める。
□優遇規模の大きな給与所得控除の見直し
□少子高齢化に対応した扶養控除の拡大


 このうちメインである退職所得控除についてですが、現在の仕組みについては国税庁のタックスアンサーをご参考頂きたいと思いますが、、中小企業の従業員の退職金については、それほど大きな影響はないでしょう。退職所得控除額を現行ルールで計算すると勤続42年で2340万円(40万円×20年+22年×70万円)になりますので、仮にそれが半分になったとしても1170万円。ほとんどの中小企業の退職金はこの金額に満たないのが実態です。(東京都産業労働局の平成16年中小企業の賃金・退職金事情によれば、100人~299人規模の企業における高卒のモデル定年退職金は12,017,000円となっています。)


 現実問題として影響が出るのは、中小企業の経営者でしょう。多くの中小企業では税および社会保険料の負担を抑制するために、毎月の報酬は抑え、その分、役員退職慰労金で抜くというような扱いをしています。今回、退職金について課税強化が行われるとそのメリットが薄れるため、大きな影響を受けると予想されます。


 当社グループには税理士法人がございますので、この件に関する情報は随時入手し、みなさんにお伝えしていきたいと思います。


(大津章敬)