労働相談内容に関する東京都産業労働局の調査結果とパワハラの増加

 先週、東京都産業労働局より「平成16年度における労働相談及びあっせんの状況」という調査結果が発表されました。そのポイントは以下のようになっています。
□労働相談件数は44,737件となり前年度より4,419件(△9.0%)減少。
□相談内容では、ここ数年10,000項目を超えていた「解雇」の相談が8,439項目にとどまり、増加が続いていた「雇止め」も大幅に減少。このほか「人員整理」「企業倒産」など、雇用調整に直結した相談の減少が目立つ。□全体の相談件数が減少する中で、「労働契約」「休日・休暇」など労働条件に関する相談は、ほぼ例年並みで推移しています。
□一方、これに対し増加が目立つのは「職場の嫌がらせ」(4,012項目、40.7%増)、「損害賠償」(1,839項目、28.2%増)などで、特に、「職場の嫌がらせ」は、今回初めて相談項目の上位にランクされ、「休日・休暇」や「雇用保険」をしのぐ相談項目数となっている。その結果、これと関連する「セクシュアル・ハラスメント」(2,009項目、46.7%増)、「メンタルヘルス」(1,765項目、83.3%増)の相談項目も大きく増加した。

 

 労働トラブルですから言葉遣いとしては不謹慎ですが、面白い結果が出たものだと思いました。中でも職場の嫌がらせについては、なんと40%増という異常な伸びを見せています。パワハラという言葉が普及したこともこの大きな要因になっているのでしょう。この問題の第一人者である岡田康子さんによれば、パワハラとは「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、或いは雇用不安を与えること」と定義されていまずが、現実には通常の部下指導との境目が非常に曖昧であるため、判断が非常に難しいところです。具体的な対策としては研修の開催(基礎知識およびコミュニケーション研修)、就業規則などへの記載の追加、内部相談窓口の設置などが有効とされますが、若手を中心に日本人全般のコミュニケーション能力が低下と権利意識の向上という環境からすれば、この問題は今後も増加を続けるのでしょう。私も管理者の1人として、注意したいところです。

 

 これ以外にもセクハラ(46.7%増)、メンタルヘルス(83.3%増)なども異常な伸びをしていますが、このあたりの話はまたの機会にお話したいと思います。

 

(大津章敬)