上場企業を中心に役員退職金廃止の動き

 今朝の日経のトップに「役員退職金2割が廃止 上場企業 今期、新たに100社超」という記事が掲載されていました。ここ数年、同様の動きが強まってきていますが、2006年3月期には日本ガイシ、協和発酵など100社以上の上場企業がその意向を表明し、累計では300社が役員退職慰労金を廃止する見通しになっているそうです。

 

 これまで不透明であった退職慰労金制度を透明化するという目的があるのでしょうが、それ以上に役員報酬の業績連動が強まるという価値の方が大きいでしょう。一般従業員に関しては成果主義の導入が既に一巡していますが、もっとも大きな業績管理責任が課せられている役員については、様々な制約があることもあり、これまで「成果主義」が十分に徹底されていない状況が多く見られました。一般従業員に成果主義の人事制度を適用する以上、役員についても同様の扱いがなされ、十分に情報公開されなければ、その納得性を得ることはできません。

 

 オーナー企業における役員退職慰労金はまた別の意味がありますので、同列で論じることはできませんが、今後、税制の見直しにも後押しされ、この流れは強まるものと予想されます。

 

(大津章敬)