注目を浴びるホワイトカラー・エグゼンプション~俸給要件とは

 今年4月28日に厚生労働省内に「今後の労働時間制度に関する研究会」という新たな研究会が立ち上がりました。ここでは文字通り、今後の労働時間制度のあり方が議論されているのですが、公表された各種資料により、この件に関し今後議論されるポイントが明確になってきました。この中の目玉とされているのが、ホワイトカラー・エグゼンプション制度導入についてです。

 

 現在、日本で施行されている労働時間規制の適用除外制度とは管理監督者などいわゆる労働基準法第41号該当者のみと適用範囲がかなり限定されております。しかし、ホワイトカラー・エグゼンプション制度とは、この適用範囲をホワイトカラーの大半と広くした制度のことをいい、アメリカでは既に2004年8月23日より新規則が施行されています。





 

●アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション制度は「管理職エグゼンプト」、「運営職エグゼンプト」、「専門職エグゼンプト」の3類型があり、制度適用を受けるには類型ごとの職務要件、ならびに下記の俸給要件を満たす必要があります。

 

【俸給要件】
  ア、食事・宿舎その他の便益供与分を除いて、週当たり455ドル以上

   の率で『実際に労働した日時や時間にかかわらず、予め定められ

   た金額を支払われている(俸給基準)』こと。(一部例外あり)

 

  イ、使用者が意図的に俸給基準に基づき賃金支払をしていない場合

   には、不適切な減額を行ったとされる管理職の下で労働する同じ職

   務分類の被用者全員について、適用除外の効果は否定される。た

   だし、次の場合に限り使用者は俸給を減額することが認められてい

   る。

      ・ 個人的な理由による欠務が1日以上に及ぶ場合
      ・ 病気又はけがによる欠務が1日以上に及び、かつ、休業補

        償金等が支給される場合(※1)
      ・ 重大な安全規律違反に対する出勤停止処分の場合
      ・ 職場服務規律違反に対する出勤停止処分の場合

 

  ※1 ここでいう休業補償金とは、賃金補填する真正な「制度」、「方

     針」、 「慣行」により全1日単位の欠務に対して補償金を受給す

     るものをいう。つまり、ここでいう休業補償金は公的、企業の恩

     恵的かどうかは問わない。 

 





 

 現在、日本では長時間労働による過労死、メンタルヘルス対策が必須とされており、裁量労働制を導入するには健康・福祉確保措置をとることが条件となっています。もし、日本にホワイトカラー・エグゼンプションが導入となるとこの健康・福祉確保措置をとることが必須となるでしょう。しかし、この措置も含め、導入条件が厳しくなればなるほど制度が形骸化します。(現在、裁量労働制を導入している企業は企画業務型、専門業務型、事業場外みなしなど全ての制度を合わせても全体の10%もありません。)日本のホワイトカラー・エグゼンプション制度はどのような導入条件が付され、どのようなメンタルヘルス対策を取るのか、今後の厚生労働省の動きに注目していきたいと思います。

 

(追伸)

  5月20日に行われました第2回今後の労働時間制度に関する研究会では、今回紹介しましたアメリカの他にドイツ、フランス、イギリスの4カ国を対象に諸外国の労働時間法制について事例研究がなされたようです。厚生労働省に確認したところ、近日中に資料が発表されるそうなので、発表され次第、ご紹介したいと思います。

 


(志治英樹)