継続雇用制度で、労使協定に対象労働者を定める基準の事例集

 改正高年齢者雇用安定法により、平成18年4月1日から、「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」または「定年の定めの廃止」のいずれかにより、65歳までの安定した雇用
の確保が義務づけられることなっています。

 それらのうち継続雇用制度については、原則として希望者全員を対象とする制度の導入が求められますが、労使協定で継続雇用制度対象者の基準を定めることにより、その対象者を限定することができるとされています。問題はその基準をどのように設定するかということになる訳ですが、この点については「具体的・客観的な基準が望ましい」とされています。この具体性・客観性という基準ですが、具体的にそれらの基準を定める場合は、厚生労働省より参考として以下の5分類に基づく事例集が示されています。

 1.働く意思・意欲
 2.勤務態度
 3.健康
 4.能力・経験
 5.技能伝承等その他

 

 詳細は以下の厚生労働省リンク(pdf)をご参照頂きたいと思いますが、1つの事例に限定することなく、これらの事例を幾つか組み合わせてその会社に適した基準を定めることも認められています。複数の事例を組み合わせることで基準がより具体的となり、継続雇用制度対象者について労使での紛争予防に対し、有効になると考えられます。いずれにしてもこの事例集は指針ではないため、労使で十分に協議し、労使双方とも納得できる基準を定めることが重要です。



 なお、こちらをクリックしていただくと、このパンフレットにある具体的な事例をご覧頂くことができます。

 

(小林己知雄)


①「働く意思・意欲」に関する基準の例 
・引き続き勤務することを希望している者
・定年退職後も会社で勤務に精勤する意欲がある者
・本人が再雇用を希望する意思を有する者
・再雇用を希望し、意欲のある者
・勤労意欲に富み、引き続き勤務を希望する者
・定年退職○年前の時点で、本人に再雇用の希望を確認し、気力について適当と認められる者

②「勤務態度」に関する基準の例
・過去○年間の出勤率○%以上の者
・懲戒処分該当者でないこと
・人事考課、昇給査定において、著しく評価が悪くないこと
・無断欠勤がないこと

③「健康」に関する基準の例
・直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと
・直近○カ年の定期健康診断結果を産業医が判断し、就業上、支障がないこと
・60 歳以降に従事する業務を遂行する上で支障がないと判断されること
・定年退職○年前の時点で、体力について適切と認められる者
・体力的に勤務継続可能である者
・勤務に支障がない健康状態にある者

④「能力・経験」に関する基準の例
・過去○年間の賞与考課が管理職○以上、一般職○以上であること
・過去○年間の平均考課が○以上であること
・人事考課の平均が○以上であること
・業績成績、業績考課が普通の水準以上あること
・工事・保守の遂行技術を保持していること
・職能資格が○級以上、職務レベル○以上
・社内技能検定○級以上を取得していること
・建設業務に関する資格を保持していること
・技能系は○級、事務系は実務職○級相当の能力を有すること
・定年時管理職であった者、又は社内資格等級○以上の者
・○級土木施工管理技士、○級管工事施工管理技士、○級建築施工管理技士、○級造園施工管理技士、○級電気工事施工管理技士等の資格を有し、現場代理人業務経験者又は設計者である者
・企業に設置義務のある資格又は営業人脈、製造技術、法知識等の専門知識を有していること

⑤「技能伝承等その他」に関する基準の例
・指導教育の技能を有する者
・定年退職後直ちに業務に従事できる者
・自宅もしくは自己の用意する住居より通勤可能な者
・勤続○年以上の者