日経団「2004年夏季・冬季賞与・一時金調査結果の概要」

 5月31日に日本経済団体連合会より、「2004年夏季・冬季賞与・一時金調査結果の概要」という統計が公表になりました。この調査は連合などの一時金集計とは少し異なる視点でまとめられており、興味深い結果も出ていますので、ここで紹介したいと思います。

(1)賞与の水準 ―全産業―
 非管理職の賞与支給額は、夏季687,115 円、冬季713,239 円。対前年同期比は、夏季がプラス3.0%(前年プラス0.4%)、冬季がプラス3.7%(同プラス0.2%)で、ともに3%台の伸び率を示しています。また管理職の賞与支給額は、夏季1,245,075 円、冬季1,259,156 円。対前年同期比は夏季がプラス4.3%(前年マイナス1.0%)、冬季がプラス2.8%(同プラス0.3%)。
(2)考課査定の幅
 賞与・一時金における考課査定の幅をみると、査定幅の最高と最低が同じである場合、非管理職では「±10%以内」とする企業が全体の14.8%(前年18.3%)で最も多いものの、「±30%以内」は13.7%(対前年比プラス2.1 ポイント)、「±15%以内」は12.9%(同プラス0.5 ポイント)と増加しており、考課査定の幅を拡大する傾向を読み取ることができます。なお管理職では、「±30.0%以内」とする企業が全体の20.4%(前年21.2%)で前年調査と同じく最も多く、次いで「±20%以内」の11.7%(同11.1%)の順となっています。
(3)配分状況
 夏季賞与支給額の配分状況は、非管理職では「定率分」が55.6%(前年50.9%)と最も多く、「考課査定分」が29.0%(同29.7%)、「定額分」が14.0%(同18.3%)と続いています。管理職では、「考課査定分」が51.6%(前年52.0%)で2 年連続して5 割を超
え、次いで「定率分」が33.6%(同29.8%)、「定額分」が12.9%(同17.1%)の順になっています。
(4)賞与総額の決定方法
 賞与総額(原資)の決定方法で、業績連動方式を採用している企業は35.3%(前年29.9%)で、初めて30%台となり、製造業では4割を超えました(41.4%)。算定方式別にその内容を見ますと、「経常利益を基準とする」企業が86.4%(前年77.8%)と8 割を大きく上回った。その他では、「生産高、売上高を基準とする」企業が10.9%(前年12.3%)、「付加価値を基準とする」企業が1.8%(同7.4%)となっています。

 

 このようにこの調査は賞与支給額のデータだけではなく、人事制度としての企業の動向が見える内容になっているため、非常に興味深いのではないでしょうか。

 

 なお詳細のデータはこちらでご参照頂けます。

 

(大津章敬)