女性の活躍の場、拡大「女性坑内労働解禁」へ

 6月8日の日本経済新聞に「坑内労働も女性に解禁」という記事が掲載されていました。

 

 現行の労働基準法第64条の2は18歳以上の女性が坑内労働することを禁止しています。(労働基準法第63条において18歳未満の者の坑内労働は禁止されており、実質坑内労働ができるのは18歳以上の男性及び16歳以上の男性である訓練生とされています。)これは妊産婦の女性が就業制限を受ける仕事を除けば、1947年の労働基準法制定時に女性の就業が禁止された唯一の仕事です。この点に関しては制定当時における坑内労働の就業環境は劣悪であり、母体保護の必要性から禁止となったという経緯があります。ただし、現在は満18歳以上の女性でも、医師、看護師、マスメディアの取材業務、自然科学の研究業務で臨時の必要のための業務については例外的に入坑が認められています。

 

 「坑内労働」と聞くと、炭鉱での労働をイメージしがちです。しかし「坑内労働」とは鉱山におけるものと、ずい道工事等鉱山以外におけるもの(道路、鉄道、水路等)の工事のことを指しています。その中でトンネル工事、地下鉄工事における労働もこれに該当し、具体的には地表に出ない部分の工事現場がこれに当たるとされています。(既に完成しているトンネルや地下鉄については除かれる。)

 

 こうした状況に対し、女性の建設業界への進出が増加傾向にある中で、女性の土木技術者がトンネル工事、地下鉄工事に従事できないのは差別問題であるという声があがっていました。また近年の技術の進歩により坑内の職場環境も改善され、肉体労働の比率も低下し、昭和30年~40年代に比べれば労働災害の発生も大幅に減少しているという意見も強まっています。厚生労働省はこれらを受け議論を重ね、女性の坑内労働解禁に関する報告書を作成し、来春の通常国会にも労働基準法改正案を提出、2007年度からの施行を目指しています。

 

参考:労働基準法第64条の2(坑内労働の禁止)

 使用者は、満18歳以上の女性を坑内で労働させてはならない。ただし、臨時の必要のため坑内で行われる業務で厚生労働省令で定めるものに従事する者(次条第1項に規定する妊産婦で厚生労働省令で定めるものを除く。)については、この限りでない。

 

 また「第4回女性の坑内労働に係る専門家会合」の議事録につきましては近日中に以下において公開される予定です。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#koyou

 

(赤田亘久)