インターンシップの労働者性

 先日、厚生労働省のウェブサイトで、「厚生労働省におけるインターンシップの追加募集」という告知がなされていました。就職希望学生を対象とした「職場体験実習(インターンシップ)」については多くの企業においてその導入が積極的に進められていますが、今回厚生労働省の募集要項によると、厚生労働省のみで約100件の募集が行われており、指導員の下で1~2週間の実習に従事するといった内容となっていました。


 このインターンシップ運営にあたっては、実習学生の労働者性をどのように扱うのかという問題があります。特にインターンシップは、アルバイトとの境目が不明確であることが少なくないため、事前にしっかりとしたプログラム等を準備しておかなければ単なるアルバイトと変わらない実態が発生してしまう恐れがあります。この場合はインターンシップとはいえ、労働者性ありとされ、最低賃金の支給や、事故発生時の労災の問題などが生じることとなります。
 
 このインターンシップにおける学生の労働者性に関しては、以下の行政通達が存在します。
「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる。なお、この判断にあたっては、昭和57年2月19日付け基発第121号「商船大学及び商船専門学校の実習生について(一般に実習の委託を受けた事業場との関係において原則として労働者ではないとするもの)」も参照されたい。」(平9.9.18 基発第636号)
 
 インターンシップは学生の就労意識の醸成や企業とのミスマッチの防止という観点から、積極的に導入が進められるべきだと考えますが、こうした労働者性の問題については受け入れ側の起業において、事前に十分な検討を行っておく必要があります。一般的には、今回の厚生労働省の募集のように実習であることを前面に出し、労働者としては扱わず、また補助作業従事以外にも、プログラムの内容に講義を取り入れたり、レポートの提出を求めるなどの工夫をしている企業も多いようです。
 
(労働契約チーム)