大企業を中心に導入が進むキャッシュバランスプラン

 先日、厚生年金基金連合会より「確定給付企業年金アンケート調査」:pdfの集計結果が発表されました。

 

 このアンケートは今年の5月から6月にかけて、1,142件を対象に行われたもので、回答数は基金型が442、規約型が185となっています。確定給付企業年金の基本的な制度設計や資産運用、会計基準に関する取り扱いなどに関する内容についてのアンケート集計が行われているのですが、その中で目を引いたのはキャッシュバランスプランの導入状況に関する項目です。

 

 「老齢給付金について、キャッシュバランスを導入していますか?」という問いに対して、以下のような回答がなされていました。
[全体]
 導入している       155件(24.7%)
 類似制度を導入している 87件(13.9%)
 導入していない      378件(60.3%)
[基金型]
 導入している       104件(23.5%)
 類似制度を導入している 66件(14.9%)
 導入していない      268件(60.6%)
[規約型]
 導入している        51件(27.6%)
 類似制度を導入している 21件(11.4%)
 導入していない      110件(59.5%)

 

 この結果をどのように見るかというのは判断が分かれるところかも知れませんが、私個人としては、CBPもしくは類似制度の導入が確定給付年金制度全体の約40%にも達しているというのには少し驚きました。先日、ある国内大手の生命保険会社の法人部長さんとの打合せの中で、CBPは(その保険会社では)被保険者300人以上でないと受託できないという話をお聞きしましたが、大企業を中心にこの制度の導入が着々と進められているようです。

 

※キャッシュバランスプラン
 キャッシュバランスプランは、2002年4月に施行された確定給付企業年金法によって新たに認められた企業年金制度です。確定拠出年金制度同様、企業が一定の金額を社員のために拠出(※1)し、この原資に対し、企業が毎年、一定の利息(再評価率※2)を付与して運用、最終的に積み立てられた金額が支給額となるという制度になります。従来の適格退職年金制度など、確定給付型の企業年金制度と確定拠出年金制度の両方の特徴を持っているため、ハイブリッド(混合)型とも呼ばれることもあります。この制度の最大の特徴は、運用の利率である再評価率を従来の適格退職年金制度のように固定せず、国債の応募者利回り(外部金利)と連動させることによって、運用のリスクを軽減しているところにあります。

 

(大津章敬)