週60時間以上の男性社員の労働が少子化の原因?
本日、厚生労働省より「平成17年度 厚生労働白書」が発表になりました。改めて読んでみると、なかなか面白い内容になっていると再認識させられましたが、中でももっとも興味深かったデータについてご紹介しましょう。
白書の100ページに書かれている「父親の家事・育児参加のためにも長時間労働は見直すべき」という提言ですが、以下で該当箇所を引用することにします。
核家族世帯においては、母親だけでなく父親の家事・育児への参加が重要といわれている。しかしながら、男性においても就業構造の多様化が進む中で、図表2-3-16で見ても、長時間労働をしている父親の方が子育てへの関わり方は少ないという実態がわかる。ここで、男性の働き方について地域別に見ることとする。25~39歳の男性就業者の週間労働時間を見ると、週60時間以上の者の割合は全国的に女性に比べて高いが、山陰や東北などで比較的低く、東京都や大阪府などの都市部で高くなっている。また、合計特殊出生率との相関をみても、ゆるやかな負の相関があり、長時間労働者の割合が高い地域は、出生率が低い傾向にあることがわかる。
左の画像がそのグラフ(クリックで拡大)になりますが、具体的なデータで見てみましょう。まず週に60時間以上働く男性の割合の全国平均は22.4%、合計特殊出生率の全国平均は1.29%です。これに対し週に60時間以上働く男性の割合が全国で最も低い島根県(14.2%)の出生率は、全国平均を上回る1.4。逆に60時間以上働く男性の割合が全国最高の大阪府(26.4%)の出生率は1.20%だったそうです。もちろんこれだけが少子化の原因ではありませんが、確かに相関関係が見られるようです。今後、少子化対策という面からも労働時間に関する規制が強まることでしょう。
そもそも週に60時間ということは毎週20時間の時間外労働ですから、いわゆる過労死認定基準の点からも問題の水準です。労働時間短縮という課題は、その企業の基本的な営業構造にまで関係する、非常に根が深い問題であるため、その解決は非常に難しいのですが、様々な点から継続的な対策を取ることが求められています。
(大津章敬)