急増するメンタルヘルスと企業に求められる取組み

 ここ数年で企業におけるメンタルヘルスの問題に対する認知が急速に高まっています。今回は社会経済生産性本部 メンタル・ヘルス研究所が昨年8月に発表した「産業人メンタルヘルス白書:pdf」より以下の3点についてご紹介し、多くの企業がどのような対策を行っているのかという実態を見ていくことにしましょう。


1.長期休暇をとる社員の増減傾向
 現在「心の病」のため1ヶ月以上休業している従業員がいる、と回答した企業は全体の約6割。規模別に見ると3,000人以上の規模が約9割、と殆どの企業に1人は休職者がいる状況。前年対比で増加率を見ると
 1,000人未満    33.6%⇒35.7%
 1,000~2,999人  59.6%⇒84.3%
 3,000人以上    89.7%⇒95.9%
と1,000~2,999人規模の企業が増加傾向となっています。
 
2.職場のメンタルヘルス対策として管理監督者にもっとも期待すること
 全体では①管理監督者に相談しやすい雰囲気、②部下の不調への対応、③労働時間管理、④職場の人間関係の調整、⑤能力発揮のための育成・指導という回答になっています。更に規模別で見ると1,000人未満の企業では①管理監督者に相談しやすい雰囲気、②労働時間管理、③職場の人間関係の調整という回答となっています。いずれの企業もまずは「管理監督者への相談のし易さ」を管理監督職に期待していることが分かります。


3.現在取り組んでいるメンタルヘルス施策
 全体では①管理職向けの教育、②社内報などによるPR、③一般社員向けの教育、④社外の相談機関への委託、⑤心の健康診断の実施という回答となっています。


 このように企業の中のメンタルヘルス問題は年々深刻化しており、企業側としても「心の病」の発病予防・長期休職者への対応を行う必要性が高まってきました。発病予防の対応策として相談窓口の設置や休業から復帰までの復職プログラム作成、長期休職者への対応策として休職規定(就業規則)の見直しを行うことなどが求められています。
 
(労働者保護チーム)