急激な増加を続ける厚生年金の支出

 8月3日、社会保険庁「厚生年金・国民年金の平成16年度収支決算の概要」を報道発表しました。世間では少子高齢化の進展や保険料の未納による制度の空洞化といった観点から年金財政危機が叫ばれていますが、実際の収支はどのようになっているのでしょうか。本日はまず厚生年金について取り上げます。


 平成16年度の厚生年金の収支は、収入面・支出面共に増加という結果になっています。まず、収入面を見てみると、前年度より被保険者が増加していること、保険料率が引き上げられたこと等により、若干の保険料収入の増加となっています。また、厚生年金基金の代行返上による移換金の一時的増収により黒字の結果となりました。ただし、この移換金を除くと実質的には赤字になっており、保険料収入のみでみると、昨年に引き続き過去7年度中、2番目に少ない数字となっています。

 

 支出面については、受給者数の増加等に伴い、増加となっています。支出は発表資料の中で平成10年度から平成17年度まで上がり続けている数字であり、毎年4兆円以上の増加と、その急激な増加は目を見張る程になっています。この支出増加の背景には高齢化が年金財政に与える影響を見ることができるでしょう。また少子化の影響については、今後、徐々に数字に表れてくるのではないかかと考えられます。

 

 国民年金の状況については日を改めてご紹介しましょう。

 

(宮武貴美)