労働者の疲労蓄積度チェックリストを活用した組織の健康診断

労働者の疲労蓄積度チェックリスト 近年、労働時間に関して二極化の現象が顕著に現れています。つまり短時間労働者を中心とした非正規従業員が増加する傾向が強まる中で、正社員の労働時間は増加の一途を辿り、東京労働局の昨年の調査によれば、脳・心臓疾患の発症との関連性が強くなるとされる長時間労働(月100時間または2~6ヶ月を平均して月平均80時間を超える時間外・休日労働)があるとする企業または今後可能性があるとする企業は57.9%で、15年度調査の54.0%、14年度調査の47.7%から、3.9ポイント、10.2ポイントそれぞれ増加しているという状況になっています。事実、多くの企業の労働時間の実態を見ていると、長時間労働が常態化し、メンタル面を含め、健康を損なう社員が続発する危険な状態にある企業が少なくないと実感しています。


 厚生労働省では、平成14年2月に「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を策定し、時間外労働の削減と一定時間以上の時間外労働を行わせた場合の健康管理措置の徹底について周知を図っていますが、その一環として、労働者本人による疲労蓄積度自己診断のためのチェックリストを作成しています。残業が多くなっている社員を中心にこうしたチェックシートによって、その状況を把握し、必要な対策を検討して頂きたいと思います。企業には社員を健康に働かせるための安全配慮義務が課せられています。万が一のことが起こる前に適切な対応を取り、社員の健康を保持した上で、安定的な業務運営を実現したいものです。


http://www.jaish.gr.jp/td_chk/tdchk_e_index.html


(大津章敬)