改正安衛法成立~月100時間超の時間外労働に面接指導

 10月26日、労働安全衛生法の改正が参議院で可決し、成立しました。この改正では、法律案の要旨にあるように「働き方の多様化が進む中で、重大な労働災害の頻発、長時間労働に伴う脳・心臓疾患や精神障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化していることから、こうした問題に対処していくため」に事業主に一定の義務を課す内容となっています。


 今回のいくつかの改正点の中で、実務に大きな影響があると予想されるものの筆頭が「面接指導等」の措置ではないでしょうか。これは、1ヶ月に100時間以上の時間外労働を行った労働者に対し、医師による面接指導を受けさせることを義務付けるもので、その面接指導等の結果、必要があると認める場合には、作業の変更等の措置を講じなければならないとしています。これまで過労死等については、認定基準の策定等の事後的措置の整備を進めていましたが、この改正内容はその点から一歩踏み込み、事前予防の取り組みを強化し始めたといえるでしょう。


 この法律は、平成18年4月1日から施行になりますが、今後、施行に向けて、時間外労働時の削減に取り組むことはもちろんのこと、産業医の見直し、一定時間超過時の対処方法の準備等の取り組みが必要になってきます。


(宮武貴美)