労務監査による労働分野のコンプライアンス推進
ここ数年、サービス残業による時間外手当の不払い、過重労働による過労死、賃下げなどの労働条件の不利益変更、うつ病社員の増加、不当解雇、セクハラ/パワハラなど、労働に関するトラブルが急増しています。これは実感ベースだけではなく、統計でも裏付けられており、厚生労働省が発表した平成16年度の労働トラブル件数は734,000件、前年度に比べて17.4%の増加となっています。
特に最近の労働トラブルはその内容が複雑化し、一旦労働トラブルが発生すると、企業側はその解決に向けて膨大な時間とコストを費やさなければならないことが多く、事業の円滑な遂行が大きく阻害されることになります。こうしたトラブルは、事業主の知識不足、また労働コンプライアンスの意識が低かったために発生したケースがほとんどであり、抜本的対処を行っていれば、防ぎえたものも少なくありません。こうした意味から、経営者/管理者としては、人事労務管理に関する知識の修得が重要な課題となっています。
また、このような環境を背景として、自社の労務管理の問題点を体系的に把握するための取り組みとして、「労務監査」を実施する企業が増加しています。自社の労務管理体制に関する定期健康診断のようなものですが、これを行うことによって現在の課題を洗い出し、優先順位をつけた上で、その改善を進めていくのです。この取り組みはコンプライアンスが強く要請される現在の企業においては非常に重要であると考えています。そこでこれから定期的に、当blogにおいて労務監査の実施内容およびそのポイントについてご紹介をしていきたいと思います。
(神谷篤史)