子の看護休暇制度

 本日は、今回の改正で義務化された「子の看護休暇」についてご説明いたします。


 「子の看護休暇」とは、小学校就学前の子を養育する労働者が、その子が負傷し、又は疾病にかかったときに看護を行う際、事業主に申し出ることにより、1年度において5労働日を限度として取得することができる休暇です。休暇の日数は子の人数にかかわらず1年度に5日までとなります。
 この制度は、子供の病気やけがの際に休暇を取得しやすくし、子育てをしながら働き続けることができるようにするため、H14.4.1から事業主の努力義務として導入されていましたが、今回の改正により新たに権利として義務化されました。


 それでは、内容を詳しく見ることとしましょう。


1.負傷や疾病の種類
・介護休暇と異なり、休暇が取得できる種類や程度に特段の制限はありません。風邪による発熱など、短期間で治癒する傷病についても、労働者が必要と考える場合には申出ができます。一方事業主は、子が負傷し、又は疾病にかかっている事実を証明する書類の提出を求めることができます。証明書類は必ずしも医師の診断書等である必要はありません。


2.1年度とは
・事業主が特に定めをしない場合には、毎年4月1日から翌3月31日となります。


3.この制度が適用される労働者の範囲
・次に掲げる適用除外となる者以外の労働者を対象としています。
  ○日々雇い入れられるもの
  ○労使協定を締結することにより取得できないこととした次の者
    ?継続して雇用された期間が6ヶ月に満たない者
    ?1週間の所定労働日数が2日以下の者


※したがって事業主は、例えば期間雇用者であること、または配偶者が専業主婦であることを理由として申請を拒むことはできません。


4.子の看護休暇の申出
・子の休暇を取得しようとする労働者は、次の事項を事業主に申し出なければなりません。
  ?労働者の氏名
  ?申出に係る子の氏名及び生年月日
  ?看護休暇を取得する年月日
  ?申出に係る子が負傷し、又は疾病にかかっている事実


 この休暇は、年次有給休暇とは別に与える必要があり、事業主は、その申出があった場合は拒むことはできません。ただ、この休暇は有給である必要はありません。就業規則等に有給であるか無給であるかの別を明記すれば足ります。まずは、制度として就業規則等に「子の看護休暇制度」を設け、内容を整備して運用していく必要があります。そもそも突発的に発生することが多分に見込まれる休暇であることに十分留意し、制度の弾力的な利用が可能となるように配慮が必要です。