「子の看護休暇制度」の実務対応





 正社員である従業員が「今日は、子供が急に熱を出したので休みます。」と当日の朝に電話をしてきました。子の看護休暇に関する法律の新設について聞いたことがあるのですが、あまりに急な申し出なので、休暇取得を許可すると業務に支障が出てしまいます。子供が熱を出したという証拠も何もありません。許可しなければならないのでしょうか?



 子の看護休暇は、労働者(日雇い労働者等を除く)に与えられた権利です。事業主は、業務繁忙や人手不足を理由として申し出を拒むことはできません。また、子供の健康状態の急変というのは一般的に考えられる事態であるため、申し出のあった当日の取得や、口頭による申し出のみであっても認めなければなりません。休暇取得申出書や、子供の疾病に関する証拠書類の提出を義務付けることはできますが、事後提出を認める必要があります。
 
 加えて、休暇を取得することができる子供の負傷・疾病の種類には、何も制限がないということに注意が必要です。そのため、証拠書類の提出を義務付ける場合においても、医師の診断書に限るのではなく、医療機関の領収書・保育所を欠席したことが明らかになる連絡表あるいは薬袋のコピー等による申請を認めるなど、柔軟な対応が求められます。


 なお、子の看護休暇取得日に対する賃金を支払わないことは差し支えありませんが、休暇取得を理由とする「解雇その他の不利益な扱い」は禁止されています。具体的には、以下のような取り扱いが禁止事項に該当します。


1.解雇すること
2.期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
3.あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該
    回数を引き下げること
4.退職、または正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とする
  ような労働契約内容の変更の強要
5.自宅待機を命じること
6.降格させること
7.減給をし、または賞与等において不利益な算定を行うこと
8.不利益な配置の変更を行うこと
9.就業環境を害すること


(伊藤里奈)