育児・介護休業者への不利益取扱いの禁止
育児休業・介護休業法が改正され、益々充実したものとなりました。労働者へ配慮する事項についてはよく目にすることと思います。今回は、育児休業・介護休業中の労働者に対して行ってはいけない事項に注目してみたいと思います。
事業主は、育児休業・介護休業・子の看護休暇の申出をしたことや取得したことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはいけないこととなっています。では、どのようなことを不利益取扱いというのでしょうか。
事業主に対して禁止される解雇その他不利益な取扱いは、労働者が育児休業、介護休業や子の看護休暇の申出をしたことや取得したこととの間に因果関係がある行為をいいます。
具体的には以下となります。
1)解雇をすること。
2)期間を定めて雇用されるものについて、契約の更新をしないこと。
3)あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、その回数を引き下げること。
4)退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
※例え同意を得ていても、労働者の真意に基づくものでないと認められる場合は、不利益取扱いとなります。
5)自宅待機を命ずること。
※育児休業・介護休業の終了予定日を超えて休業すること、子の看護休暇の取得の申出以外の日に休業する事を強要した場合はこれに含まれます。
6)降格させること。
7)減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
※育児休業・介護休業期間中、子の看護休暇を取得した日について賃金を支払わない事、退職金や賞与の算定に当たり休業した期間・子の看護休暇をした期間を算定対象期間から控除すること等、休暇を取得した日を働かなかったものとして取り扱う事は不利益な取扱に該当しません。
しかし、休暇以上の日数を超えて働かなかったものとして取り扱うことは「不利益な算定」となります。
8)不利益な配置の変更を行うこと。
※配置の変更が不利益な取扱に該当するか否かは、配置前後のその人の将来に及ぼす影響などの様々な事情について総合的に比較し、判断されることなります。例えば、通常の人事異動のルールからは十分に説明できない職務や就業の場所の変更を行う事により、その労働者に相当程度経済的、精神的な不利益を生じさせることはこれに該当します。
9)就業環境を害すること。
※例えば、業務に従事させない、専ら雑務に従事させる等の行為をいいます。
以上のような不利益取り扱いは、禁止されていますので行わないようにご注意下さい。なお、明日のブログでこの具体例をご紹介します。併せてご参考下さい。