育児を行う労働者の時間外労働の制限

 今回は、育児・介護休業法の『育児を行う労働者の時間外労働の制限』について、ご説明します。


 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、その子を養育するために請求した場合、1ヶ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはいけません(事業の正常な運営を妨げる場合を除く)。
但し、次のような労働者は請求できません。
・その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない者
・配偶者が常態としてその子を養育することができると認められる者
・その他合理的な理由があると認められる者(厚生労働省令で定める)


いくつかのポイントをご説明します。


1)時間外労働について
 制限の対象となるのは、法定労働時間(原則:1日8時間、1週間につき40時間)を超える労働です。それぞれの会社等で定める所定労働時間の超過とは判断が異なります。


2)請求できる労働者の範囲について
 日々雇い入れられる者は請求できませんが、期間を定めて雇用される者は請求できます。
・パートやアルバイトの方も、請求できます。
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は、請求できません。


3)『配偶者が常態としてその子を養育できる』とは、次の①~④のいずれにも該当する場合です。
①職業に就いていないこと
 (育児休業中、1週間の就業日数が2日以下の場合も含む)
②負傷、疾病などにより、子の養育が困難な状態でないこと
③6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定でなく、又は産後8週間以内でないこと
④請求に係る子と同居していること


4)請求について
 1回につき、1ヶ月以上1年以内の期間について、その開始の日及び終了の日を明らかにして、制限開始予定日の1ヶ月前までに書面で請求する必要があります。


 届出すべき内容は、
  ・請求の年月日
  ・労働者の氏名
  ・請求に係る子の氏名、生年月日及び労働者との続柄
  ・制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日
  ・請求に係る子が養子である場合には養子縁組の効力発生日
  ・常態としてその子を養育することができる配偶者等がいないこと
 ※請求は何回もすることができます。
 ※事業主は、労働者に子の出生等を証明する書類の提出を求めること
  ができます。



また、時間外労働の制限は、労働者が子を養育しなくなった場合、子が小学校就学の始期に達した場合や、労働者が産前産後休業、育児・介護休業が始まった場合に終了します。
労働者が時間外労働の制限の請求がしやすいように、あらかじめ制度を導入し、就業規則に定める等の配慮が事業主に求められています。