メンタルヘルス不全者にかかる認知の高まり

 先日、独立行政法人労働政策研究・研修機構から「メンタルヘルスケアに関する調査」結果が発表されました。この調査は、同機構のモニターとして登録している民間企業103社(回答は95社)の回答を集計したものですが、主要産業のリーディングカンパニーにモニターを委嘱し、先行的な動向の把握や先進事例の収集などを目指すという趣旨から、従業員規模1,000名以上という企業の回答が84.2%を占めています。今回はこの調査結果の中からメンタル不全者の増加と今後について考えてみます。


 調査結果によれば、8割近い企業において、ここ5年程度でメンタルヘルスに問題を抱えた従業員がメンタル不全者が増加したとの結果が出ています。また、メンタルヘルスの問題の今後の見通しについても、状況が厳しくなると考えている企業が8割近くを占めています。これは単純にメンタルヘルス不全者が多くなったというのみではなく、メンタルヘルス不全に対する企業側の認知が高まってきたことにも関係があるのでしょう。この認知が高まるにつれ、メンタルヘルス不全を職場でオープンにできる風潮が高まってきており、従来は「うつ病」など病気を患いながら働き続けることが困難で退職を選択をしていた社員が休職制度を上手に利用し、復職を目指すことができるようになってきました。


 中小企業では、人員やコストの面から考えても、なかなか具体的な取り組みが難しいというのが実態でしょうが、まずは従業員の勤怠状況を把握するなど、メンタル面で問題を抱えている社員がいないか把握するところから始める必要性があるでしょう。


□参照:独立行政法人労働政策研究・研修機構から「メンタルヘルスケアに関する調査」
http://www.jil.go.jp/press/documents/20051125.pdf


(宮武貴美)