育児を行う労働者の深夜業の制限
事業主は、育児を行う労働者が請求した場合には、午後10時から午前5時まで(以下「深夜」といいます)の間に労働させてはなりません。今回は育児を行う労働者の深夜業の制限について解説いたします。
1.対象となる労働者
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が対象で、期間を定めて雇用される労働者も請求できます。但し、次のような労働者は請求できません。
1)日々雇用される労働者
2)勤続1年未満の労働者
3)深夜に「保育ができる同居の家族」がいる労働者
※「保育ができる同居の家族」とは、16歳以上であって以下のいずれ
にも該当する者をいいます。
① 深夜に就業していないこと(深夜の就業日数が1か月に3日以内
であればこれに含まれます)
② 負傷、疾病又は心身の障害により保育が困難でないこと
③ 産前産後でないこと。すなわち6週間以内(多胎妊娠の場合は1
4週間)に出産予定でなく、または産後8週間以内でないこと
4)1週間の所定労働日数が2日以下である労働者
5)所定労働時間の全部が深夜にある労働者
2.深夜業の制限の請求
1)1回の請求につき1か月以上6か月以内の連続する期間です。
2)請求できる回数に制限はなく、何回も請求することができます。
3)開始の日及び終了の日を明らかにして、開始の1か月前までに請求
しなければなりません。
3.深夜業の制限の終了
深夜業の制限期間の終了は労働者の意思にかかわらず次の場合に終了します。
1)子を養育しなくなったとき
具体的には次の場合です。
・子が死亡したとき
・子が養子のときの離縁または養子縁組の取消
・子が他人の養子となったこと等による同居の解消
・労働者の負傷、疾病等により、制限を終了する日までの間、子を養
育できない状態となったとき
2)子が小学校の始期に達したとき
3)深夜業の制限を受けている労働者が、産前産後休業、育児休業ま
たは介護休業をするとき
子を養育しなくなったとき、労働者はその旨を事業主に知らせなければなりません。事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は労働者の請求を拒むことができますが、その労働者の業務の内容、繁閑、代行者の配置の難易などの事情を考慮し、客観的に判断することになります。