育児休業等に関し事業主が講ずべき措置(その1)

 これまでこの週末の「育児介護休業法に関するブログ」では、改正の背景に始まり、概要、育児休業に関連した事業主の義務を紹介してきました。本日は「事業主が講ずべき措置 その1」として、①育児休業に関連してあらかじめ定めるべき事項等、②雇用管理及び職業能力の開発向上等に関する措置、③育児のための勤務時間の短縮等、の3項目について解説したい思います。


1)育児休業に関連してあらかじめ定めるべき事項等
・あらかじめ定め、これを周知するための措置を講ずるよう努力しなければならない事項は次の3点です。
①賃金その他経済的給付、教育訓練の実施など、育児休業中の待遇に関する事項
②復帰後の賃金、配置その他の労働条件(昇進、昇格及び年次有給休暇に関する事項)に関する事項 
※なお、年次有給休暇に関する出勤率の算定には、労働基準法の定めるところにより、休業した期間は出勤したものとみなさなければなりません。
③育児休業が終了した場合の労務の提供の開始時期に関する事項


これらは一括して就業規則などに定めておくことが望ましい項目です。
また上記は、休業を申し出た対象労働者にあてはめた具体的な取扱を明示するよう努力しなければなりません。そしてその明示は文書の交付によって行うこととされています。


2)雇用管理及び職業能力の開発向上等に関する措置  
・休業後は原則として、原職あるいは原職相当職に復帰させるように配慮することが必要です。
 したがって、復職を前提としてその他の労働者の配置などに工夫をくわえていくことが望まれます。
・また、休業中の労働者の職業能力の開発及び向上に関して必要な措置を講ずるよう努力しなければ なりません。その際は、本人がその適用を受けるかどうかを選択できるものでなけらばなりません。
 また、労働者本人の職種、職務上の地位、職業意識等の状況に的確に対応し、かつ計画的に実施されることが望ましいものです。
   
3)育児のための勤務時間の短縮等の措置
・1歳未満の子を養育する労働者で育児休業をしないものに関して次のいずれかを、1歳以上3歳未満の子を養育する労働者に関しては育児休業に準ずる措置または次の措置のいずれかを講じなければなりません。これは上の2つと違い、義務になります。
①短時間勤務の制度
②フレックスタイム制
③始業、終業時刻の繰上げ、繰下げ
④所定外労働をさせない制度
⑤託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与


※この措置については日々雇い入れられる者は対象となりません。


 もちろん労働者がこれらの措置の適用を申し出たり、受けたことを理由として、解雇その他不利益な取扱をしてはいけません。
 また、この法律に規定する育児のための勤務時間の短縮等の措置と労働基準法に規定する育児時間は別々に実施する必要があります。