小学校就学前の子を養育する労働者への措置





 以前、事業主は3歳に満たない子を養育する労働者について、労働時間を短くしたり、残業させないようにするなどの勤務時間短縮等の措置を講じなければならないと聞き、当社では急遽「所定外労働をさせない制度」を導入し、運用しています。ところが最近小学校入学前までの子を養育する労働者に対しても育児休業制度か勤務時間短縮等の措置に準じて必要な措置を講じないといけないと聞きました。もし、本当ならばまた社内のルール整備をしなければいけないと思っています。 本当なのでしょうか?






 結論を先に申し上げると、現段階では小学校入学前までの子を養育する労働者に対して育児休業制度か勤務時間短縮等の措置に準じて必要な措置を講じる必要はありません。もっと正確に申し上げると、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対しては、必要な措置を講じる義務はなく、これは努力義務とされています。子が生まれてから、小学校就学の始期に達するまでの流れを見ていくと以下のようになります。


① 0歳~1歳(1歳6ヶ月)未満
 <育児休業> → (事業主の義務)


  子供が生まれた場合、労働者から申出があれば1歳(一定の要件に該当した場合は上限1歳6ヶ月)までの育児休業を与えなければいけません。ただし、育児休業をすることができないこととする労使協定がある場合は申出を拒否できます。


② 1歳(1歳6ヶ月)~3歳未満
 <勤務時間短縮等の措置> → (事業主の義務)


 育児休業終了後、3歳未満の子を養育する労働者には、勤務時間短縮等の措置を講じなければいけません。
  
③ 3歳~小学校就学の始期に達するまで
 <勤務時間短縮等の措置> → (事業主の努力義務)


 3歳に達した日の翌日から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者には、勤務時間短縮等の措置(事業主の努力義務)を講ずるように努めなければいけません。これは努力義務の為、必ず制度を設けて運用しなければならないということはありません。


  最後に、小学校に入学するまでの子を育てる労働者が利用できる短時間勤務制度、フレックスタイム制等の勤務時間短縮等の制度を新たに就業規則等に規定し、3歳以上の子を育てる労働者に実際に利用させた事業主に対し、奨励金が支給される「育児両立支援奨励金」があります。詳しくは財団法人21世紀職業財団のホームページをご参照下さい。
 (http://www.jiwe.or.jp/index.html