育児休業と社会保険
これまでの週末を利用して、育児・介護休業法の概要についてご説明してきましたが、今回は育児休業に関連して申請できる社会保険手続きについて、ご紹介いたします。
1.育児休業等期間中の保険料免除
・育児休業等を取得する被保険者は、その開始月から、最長で子が3歳になるまでの期間、健康保険・厚生年金保険料が、事業主負担分及び被保険者負担分ともに免除されます。但し、労働基準法上の産後休暇中の期間については、保険料免除の対象とはなりません。
1)対象期間 育児休業等を開始した日の属する月から、育児休業等を終了する日の属する月の前月(終了した日が月の末日の場合は、その月)
2)申出方法 事業主が『健康保険・厚生年金育児休業等取得者申出書』を管轄の社会保険事務所に提出します。なお、子が3歳になるまでの保険料免除申請を、当初からの申出により1回で行うことができるわけではありません。初回は、子が1歳になる前日までの休業について申請します。1歳6ヶ月又は、3歳まで休業することになった場合は、それぞれ『健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(延長)』を提出する必要があります。なお、育児休業終了予定日前に育児休業等を終了した場合は『健康保険・厚生年金育児休業等取得者終了届』を事業主が社会保険事務所に提出する必要があります。
2.育児休業等の終了時の標準報酬月額の改定
・育児休業等を終了した時に被保険者が申し出ることにより、固定的賃金が変動せず、かつ1等級しか報酬が変わらない場合であっても、標準報酬月額が改定されます。
1)届出時期 育児休業等を終了し職場復帰した月から3ヶ月を経過した後
2)届出方法 被保険者からの申出により、事業主が、育児休業等を終了した日の翌日の属する月以降3ヶ月の報酬月額を記載した『健康保険厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届』を社会保険事務所に提出します。
3)改定時期 育児休業等の終了後4ヶ月目から、標準報酬月額が改定されます。
平成17年4月に、育児・介護休業法が改正されたことに伴い、社会保険制度も育児休業者への配慮が拡充しました。但し、保険料免除・報酬月額改定ともに、行政庁により自動的に行われるのではなく、それぞれ届け出が必要となります。育児休業を取得される方や育児休業中の従業員がいる場合、会社としては、制度を意識しておく必要があります。