今後の労働時間制度に関する研究会報告書素案 公表

今後の労働時間制度に関する研究会報告書素案 昨年の12月21日に開催された「第15回 今後の労働時間制度に関する研究会」で発表された「今後の労働時間制度に関する研究会報告書素案」が昨日、厚生労働省のwebsiteで公開されました。詳細は実際の報告書素案を見て頂きたいと思いますが、労働時間制度、年次有給休暇制度など、非常に広範囲に亘る検討がなされています。


 その中でも今回の最大の目玉であるホワイトカラーエグゼンプション制度の適用要件としては、「職務要件」「本人要件」「健康確保要件」「導入における労使協議」を掲げた上で、対象者の具体的なイメージ例を挙げています。それによれば上記4要件を満たす者としては以下の2つのような労働者が対象となると想定されています。
1)企業における中堅の幹部候補者で管理監督職の手前に位置する者
□職務遂行の手法や労働時間の配分につき、使用者からの具体的な指示を受けず、成果や能力に応じて賃金が決定されていること
□事業の運営に関する企画業務等に従事していること
□一定以上の職位、職階にあること、または組織がフラット化した企業においては、一定年数以上の職務経験があること
□一定水準以上の年収が保証されていること
□本人が同意していること
□週休2日制に相当する日数の休日を実際に取得していること
□適切な健康確保措置が講じられていること
2)企業における設計部門のプロジェクトチームのリーダー
□職務遂行の手法や労働時間の配分につき、使用者からの具体的な指示を受けず、成果や能力に応じて賃金が決定されていること
□その者が一定以上の技能または技術を有して一定範囲の設計を任されていること
□一定水準以上の年収が保証されていること
□本人が同意していること
□プロジェクト終了後の連続休暇等の特別の休暇が付与されていること
□適切な健康確保措置が講じられていること


 この研究会は今月中に最終報告書をまとめ、労働政策審議会での検討の後、厚生労働省は年内の通常国会で関連法案の改正を目指す予定となっています。この報告書の内容の多くが法制化されるとなると、企業の人事労務管理に与える影響は絶大なものになることが予想されることから、今後もこの件については注目する必要がありそうです。


(大津章敬)