雇用保険の育児休業給付制度

 雇用保険の育児休業制度は、労働者が育児休業を取得しやすくし、その後の職場復帰を援助・支援することによって育児をする労働者の職業生活の継続を目的に創られました。育児休業給付には2種類の給付があります。
1.育児休業基本給付金…育児休業期間中に支給されます。
2.育児休業者職場復帰給付金…育児休業後、職場復帰した場合に支給されます。
今回はこの2種類の給付金について、解説いたします。


1.育児休業基本給付金
1)支給の対象になる人
・満1歳未満の子を養育するために育児休業を取得する一般被保険者(短時間労働被保険者も含み、期間雇用者も一定の要件を満たす方は受給が可能)。男性も対象。
・育児休業に入る前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること。
※過去に失業給付に係る基本手当の受給資格の決定を受けたことのある方はそれ以後の被保険者期間に限ります。


2)支給要件
次の要件をすべて満たしている場合に支給の対象となります。
・各々の支給単位期間(休業開始日から起算した1ヵ月毎の各期間)の初日から末日まで継続して被保険者であること。
・各支給単位期間中に、全日休業日(日曜・祝日のような所定労働日以外の日も含みます)が20日以上あること。ただし育児休業を終了した日の属する1ヶ月未満の支給単位期間は1日でも全休日があれば支給の対象となります。
・各支給単位期間中に支払われた賃金額が、休業開始時の賃金月額の80%未満であること。


3)支給額
原則として賃金月額の30%に相当する額です。
休業期間中に事業主から賃金が支払われた場合は次のようになります。
・支払われた賃金が休業開始時の賃金月額の
 ①50%以下の場合・・・・賃金月額の30%相当額を支給
 ②50%を超えて80%未満の場合・・・・賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給
 ③80%以上の場合・・・・支給されません。


4)支給期間
育児休業開始日から子の満1歳となった日(満1歳の誕生日の前日)の前日までの期間です。但し次のような場合は子が満1歳6ヵ月になった日の前日までの期間を限度に申請ができます。
・保育所での保育を希望し、申し込みを行っているが子が1歳に達する日以後、保育が行われない場合。但し、職場復帰予定日が子が満1歳を超えて申し出されている場合は、保育所での保育を希望し、保育が行われなかったとしても延長はされません。
・育児休業により子を養育している配偶者で、子が1歳に達する日後、子の養育を行う予定であった方が次のいずれかに該当する場合
 ①死亡した場合
 ②負傷、疾病、身体上または精神上の障害により子を養育することが困難な状態になったとき
 ③婚姻の解消、その他の事情により配偶者が子と同居しないことになったとき
 ④6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定であるか、産後8週間を経過しないとき(産前休業を請求できる期間または産前休業期間及び産後休業期間)


2.育児休業者職場復帰給付金
1)支給の対象となる人
・育児休業基本給付金の支給を受けた方が育児休業を終了後、休業前の事業主に引き続き被保険者として6ヵ月間雇用された場合に支給されます。
但し当初予定していた育児休業期間の途中で職場復帰した方は、その終了の日から6ヵ月経過した場合に支給されます。


2)支給額
・休業開始時の賃金月額×10%×支給対象期間の日数


どちらの給付金の手続きも公共職業安定所で事業主または、本人が行います。
被保険者の方が育児休業を開始したときは速やかに安定所へ届け出ることが必要です。本人が育児休業基本給付金の手続きをする場合は、育児休業を開始した日の翌日から10日以内に受給資格確認の手続きを行わなければなりませんが、事業主が代行して行う場合は、受給資格確認手続きと初回の支給申請を同時に行うことが出来ます。但し、初回の支給申請書の提出期日までに手続きしなくてはなりません。