褒め言葉に自分の気持ちも含める

 上司から部下に伝える褒め方は、大きく分けて3種類に分類できます。そこで今回は、その3種類の褒め方についてお話したいと思います。


 あなたが部下に対して褒め言葉を掛けたとき、思ったような反応を得られなかった経験はありませんか?もしも経験があれば、それは部下の価値観と褒め方の種類にズレがあったのかもしれません。褒めることも含めて、相手を認める行為の総称をコーチングでは「承認」といい、大きく分けて以下の3種類に分類することができます。
(1)○○くんは本当に頑張っているねぇ。
(2)○○くんが頑張っていて、私は本当に助かっている。
(3)○○くんが頑張っているから、みんなが助かっているよ。


 (1)はYouメッセージといい、部下が主語となっています。あわせて(2)はIメッセージで、上司(私)が主語、(3)はWeメッセージで、周りのみんなが主語になっています。


 例えば、自分にあまり自信がない部下がいたとします。この部下に対して上司は「○○くんは本当に頑張っているね。」と声掛けしましたが、その部下の顔はあまり嬉しそうではありませんでした。そこで上司が思わず「嬉しくないのか?」と聞いたところ、「自分はあまり頑張っているとは思えません…」と謙遜していたのです。


 この部下に対して「○○くんは頑張っていて、私は本当に助かっている」のIメッセージや「○○くんが頑張っているから、みんなが助かっているよ。」のWeメッセージで伝えたら、彼はどう反応するでしょうか?「自分はあまり頑張っているとは思えないが、上司やみんなが喜んでくれている!」と、たとえ自分に自信がなくても、自分の存在が認められていることを理解するでしょう。部下に対して、時には行為自体を褒めるだけではなく、上司や周りの意思を伝えてあげることも必要なのです。


(志治英樹)