雇用保険の介護休業給付制度

 介護休業給付制度は労働者が介護休業を取得しやすくし、その後の円滑な職場復帰を援助・支援することで介護をする労働者の職業生活の継続を目的に創られました。今回はこの制度について、解説いたします。


1.支給の対象になる人
 ※次のいずれにも該当する場合です。
・家族を介護するための休業を取得する一般被保険者
 ※短時間労働被保険者も含み、期間雇用者も一定の要件を満たす方は受給することが可能です。
  但し、一般被保険者が65歳以上に達すると高年齢継続被保険者となり、その日以後に介護休業を開始した場合は支給の対象とはなりません。
・介護休業に入る前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること。(過去に失業給付の基本手当の受給資格決定を受けたときはそれ以後の被保険者期間に限ります)


2.期間雇用者の支給対象要件
 次の要件のいずれかを満たしている場合に支給の対象となります。いずれの要件も同一の事業主に雇用されていなければなりません。
1)休業開始時において1年以上雇用が継続しており、かつ休業終了後、労働契約が更新され、3年以上雇用が継続される見込みがあること
2)休業開始時において労働契約が更新され、3年以上雇用が継続しており、かつ休業終了後1年以上雇用が継続される見込みがあること


3.支給対象となる介護休業
 次の1及び2を満たす介護休業について支給対象となる家族の同一要介護につき1回の介護休業期間に限り支給されます。
 ※但し、介護休業開始日から最長3ヶ月間。
1)負傷、疾病または身体上、もしくは精神上の障害により2週間以上にわたり常時介護の状態にある家 族(次のいずれかに限ります)を介護するための休業であること
・一般被保険者の「配偶者(事実上の婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」「父母(養父母を含む)」「子(養子を含む)」「配偶者の父母(養父母を含む)」
・一般被保険者が同居し、かつ扶養している「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」


2)一般被保険者がその期間の初日と末日を明らかにし、事業主に申し出た休業であること。
 また、同一の対象家族について要介護状態が異なることにより再び取得した介護休業についても給付の対象となりますが、支給日数は93日が限度となります。介護休業の開始時点で介護休業終了後に離職予定のときは支給の対象とはなりません。


4.支給要件
 次のすべての要件を満たしていることが必要です。
・各々の支給単位期間(休業開始日から1ヵ月毎の各期間)の初日から末日まで継続して被保険者であること。
・各支給単位期間中に、全日休業日(日曜・祝日のような所定労働日以外の日も含みます)が20日以上あること。但し、介護休業終了日の属する1ヶ月未満の支給単位期間は1日でも全日休業日があれば支給の対象となります。
・各支給単位期間中に支払われた賃金額が、休業開始時の賃金月額の80%未満であること。


5.支給額
 原則として賃金月額の40%に相当する額です。
 休業期間中に事業主から賃金が支払われた場合は次のようになります。
・支払われた賃金が休業開始時の賃金月額の40%以下の場合
  ⇒賃金月額の40%相当額を支給
・支払われた賃金が休業開始時の賃金月額の40%を超えて80%未満の場合
  ⇒賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給
・支払われた賃金が休業開始時の賃金月額の80%以上の場合
  ⇒支給されません。


6.支給期間
 同一要介護の介護休業期間は最長3ヶ月・1回限りで、介護休業開始日から最大3支給単位期間となりますが、3ヵ月となる前に対象介護休業を終了した場合はその終了日までとなります。


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