「労働時間」とは?

 昨年11月から3ヶ月の間、改正育児・介護休業法に関する要点や、実務上の疑問点等をご紹介してきました。今回から3ヶ月間は、昨今話題の「労働時間管理」について、今までと同様に週末を利用して、基礎的な内容をご紹介いたします。


 初回となる本日は、労働基準法に定められている労働時間に関して解説をします。


 労働基準法(以下、「労基法」)では、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」(第32条第1項)および、「1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」(同第2項)として労働時間の限度について定めています。また、同法第89条では「始業及び就業の時刻」を就業規則の絶対的必要記載事項であると定めています。
 労基法では、休憩時間を除く実働時間が「労働時間」だと定義しています。また判例によれば、労働時間とは、「労働者が使用者の指揮監督下に置かれている時間を意味し、労働者が労働契約の基本的義務である労務提供義務を履行する場合はもとより、これと不可分一体のものとしてそれ自体義務付けられ、かつ事実上使用者の拘束下で行われる活動に要する時間も含まれる」とされています。
作業前の準備や作業後の後始末、休憩時間中の電話当番、研修など本来業務の周辺にある活動が労働時間に該当するか否か、という問題を考えてみると、「使用者の指揮監督下にある」時間かどうかがポイントになります。つまり、業務との関連性と使用者の命令に基づくものかという2つの要素で判断され、この2つの要件を満たせばそれは労働時間と判断されます。
そもそも始業・終業の時刻は、労使間の取り決めにより決定します。では、始業時刻までに会社に到着していればいいのでしょうか。それとも仕事に着手できる状態にある必要があるのでしょうか。社会人としては始業時刻までに仕事に取り掛かる準備ができている状態にあることが当然要求されることだと思います。確かに就業規則の服務規程に項目を設けて労働者にそのような姿勢を求めているケースもありますが、むしろ組織風土の問題として捉え、積極的に業務に取り組む姿勢を持てる職場にすることが重要ではないでしょうか。


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