法内超勤と割増賃金
所定労働時間が法定労働時間より短い場合のいわゆる法内超勤や法定休日以外の所定休日に労働させた場合、割増賃金を支払う義務がありますか。
ご質問については、労働基準法第37条による割増賃金の支払義務の有無と、労働契約上の割増賃金とその他の賃金の支払義務の有無という二面から検討する必要があります。
労働基準法上の割増賃金の支払義務は、実労働時間が法定の労働時間を超える場合、労働基準法所定の1週1日の休日に労働した場合に(あるいは深夜の労働に対して)生じるものです。よって所定労働時間が1日あるいは1週の法定労働時間である1日8時間、1週40時間等よりも短い場合、法定の労働時間に達するまでの間の労働については、労働基準法上の割増賃金の支払義務はないということになります。
また1週1日の法定休日以外の休日における労働についても、休日労働としての割増賃金支払義務はありません
※但し、所定休日の労働の結果、週の法定労働時間等を超えれば、時間外労働としての法律上の割増賃金1.25倍が必要となります。例えば、1日8時間、月曜日から金曜日までの週5日労働で、法定休日が日曜日の会社の場合で、土曜日に労働した場合は、土曜日は休日出勤としての割増賃金ではなく、週40時間を超えた通常の時間外労働として1.25倍の割増賃金を支払うことになります。
これに対し、労働契約上の割増賃金等の支払義務があるか否かは、就業規則その他の定めによって判断されます。労働協約や就業規則あるいは労働契約上、所定労働時間を超えて労働する場合に、それが法定の時間外労働となるか否かを問わず、一律に割増賃金を支払う旨の定めがあれば、使用者は当然その支払義務を負い、これを支払わなければ労働基準法第24条の賃金の全額払いの規定に違反することになります。また、就業規則等で法内超勤と法定の時間外労働とを区別し、前者については割増賃金ではなく、時間当たりの所定賃金を支払うことを定めている場合には、割増賃金を支払う必要はありません。
なお、法定外の休日における労働についても、同様に考えればよいこととなります。
※但し、前述のように法定外休日労働が労働基準法上の時間外労働となる場合は、法定の割増賃金が必要です。
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