医療機関の事例に見る人材確保策(2)柔軟な勤務時間
多くのクリニック(診療所)では、その人材確保のために様々な工夫をしています。その策の一つとして、充実した育児支援制度を導入しているという紹介を前回させて頂きました。今回は、これに引き続き「柔軟な勤務時間」というテーマにて説明します。
クリニックでは、女性が職員の大半を占めており、育児や介護と仕事と両立させながら勤務をする職員も少なくありません。通常、それらの両立は困難で、一般企業においては退職せざるを得ないケースが多く見られますが、クリニックに勤務する職員の場合は、一般企業に比べて、育児・介護期間中の定着率が高いという特徴があります。
この理由のひとつに、勤務時間に対する考え方の違いが挙げられます。一般企業の場合は、会社が定める就業時間に自分が合わせなければならず、柔軟性のなさが人材の流出を招いていますが、クリニックの場合は、人材不足を背景に抱えているため、自分の希望する勤務時間に合わせて業務全体の再設計を行うという柔軟性を有しており、そうした柔軟な対応が職員に安心感を与えて、結果として人材の流出を最小限に抑制することができます。
労働力人口減少時代に突入している現在、一般企業においてもこのような「ヒト」に合わせた対応を採らなければ、人材確保難により事業を縮小せざるを得ないということが、現実的に発生することがあるかもしれません。
(服部英治)
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