割増賃金に反映しない手当




 扶養家族のある者に一律支給している「家族手当」は、割増賃金の基礎となる賃金に含める必要はありますか?


 労働基準法第37条は、時間外、休日又は深夜の労働に対しては、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上の率(時間外労働及び深夜労働の場合)ないし3割5分以上の率(休日労働の場合)で計算した割増賃金を支払わなければならないと規定しています。また、労働基準法第37条第4項及び同法施行規則第21条において、以下の(1)~(7)は割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくともよい旨を規定しています。


   家族手当
   通勤手当
   別居手当
   子女教育手当
   臨時に支払われた賃金
   1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
   住宅手当


 これらの賃金は、制限的列挙されたものと解されていますので、いずれにも該当しないものは、すべて割増賃金の基礎に算入しなければなりません。また、これらの賃金に該当するか否かは、名称にかかわらず「実質」によって取り扱うこととされています。これは、労働と直接的な関係が薄く個人的な事情に基づいて支払われる賃金は、割増賃金にはなじまないという趣旨で除かれているからです。


 例えば、家族手当といえども家族数に関係なく一律に支給されている場合(例えば扶養家族1人でも5人でも1万円)は家族手当として認められず、割増賃金の計算に含めなければなりません。逆に、「配偶者1万円、第1子5,000円、第2子以降3,000円を支給する」となっている場合は、各個人の家族構成により支給額も変わってきますので、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくても良い賃金となります。


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