管理監督者や裁量労働の適用者にも労働時間管理は必要か?
管理監督者や裁量労働制の適用者にも労働時間管理は必要ですか?
結論から先に言えば、労働時間管理は必要です。
管理監督者は、労働基準法上の労働時間・休憩・休日に関する条文の適用が労働基準法41条により除外されています。しかし、深夜(午後10時から午前5時まで)に業務が及んだ場合、深夜残業割増賃金の支払義務があるため、少なくとも深夜における労働時間の管理は必要となります。
また裁量労働制の適用者も、労働時間については労使協定で結んだ時間を働いているものとされます。しかし、深夜労働や休日労働に対する割増賃金の支払義務は残るため、それらの時間を把握する必要があります。また、使用者側には対象労働者の健康及び福祉を確保する義務があるため、労働時間全体の状況把握を目的としたタイムカード等の利用が通達で求められています。
具体的には、労災発生時(特に精神障害や過労自殺の場合)に労災保険の適用に支障をきたすなどの影響が考えられます。精神障害や過労自殺における労災認定基準の中には、「仕事の量(労働時間等)」という項目があります。長時間労働の慢性化といった精神的にも肉体的にも不衛生な状態を放置したまま、当該労働者が精神障害や過労自殺といったケースに至った場合、使用者側に安全配慮義務違反を問われる可能性が高いと言えるでしょう。
今春の労働安全衛生法の改正にも現れていますが、近年の労働時間問題の中心は時間外手当の支払いよりもむしろ労働者の健康管理にシフトしてきています。この点から見ても、通常の労働者より長時間労働となりがちな管理監督者や裁量労働制の適用労働者にこそ、労働時間管理を徹底すべき時代になってきていると言うことができるでしょう。
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