昇格マイレージ制度による昇格管理

 今日は人事制度設計における小さなヒントについてお話したいと思います。通常の人事制度改定では資格制度を整備し、新たにグレードを設計した上で、そのガイドラインを整備していきます。そして昇格にあたっては、そのグレードガイドラインの充足状況の審査を中心にその可否を判断することが一般的に行われています。あくまでもこれが原則ではありますが、実際にはすべてのグレードについて、そのガイドラインを明確に仕切れない場合などがあり、その昇格審査をどのように行おうかという課題が浮かび上がることがあります。


 そうした場合に用いられるのが「昇格マイレージ制度」です。これは毎年の人事評価結果に基づくポイントを設定し、その累積ポイントが一定のラインを超えた場合に昇格の対象とするという制度です。以下、具体的な例を交えながらご説明しましょう。
毎年の人事評価結果(昇給における年間評価を適用することが通常)に対応するポイント(マイル)を設定します。
例)S=8ポイント A=5ポイント B=3ポイント C=0ポイント D=-3ポイント
毎年、このポイントを累積させ、一定のポイントに達した際に昇格資格を付与します。仮に先ほどの設定でをベースに15ポイント以上で昇格資格を付与とする場合には、標準的にはB評価(3ポイント)×5年で昇格資格を得ることになります。また3年連続A評価の優秀社員であれば3年、2年連続S評価であれば最短2年で昇格となります。一方、C評価以下が続く社員の場合には現実的に昇格は難しいでしょう。
上記はあくまでも昇格のための最低資格(必要条件)を得るだけですので、実際には直近の人事評価結果や上長推薦、昇格試験、役員会決裁などを組み合わせて、昇格の可否を判断することが通常です。


 この昇格マイレージ制は、従来の資格制度を維持したままで、昇格にメリハリをつけたり、同一等級内でも主任に昇進させるような場合に利用することがよく見られます。正統派の手法ではありませんが、実務では結構便利に活用することができますので、制度設計の際のヒントとして覚えておいて頂ければと思います。


(大津章敬)


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