年俸制の残業計算方法

 近年、社員に支払う給与を年単位で決定する年俸制を採用する企業が増えてきました。支給額は年単位であっても、実際の支給は毎月支払われます。年俸制の社員が残業をした場合に、残業代はどのように計算したら良いでしょうか。今回は年俸制の残業の計算方法を、ご説明いたします。


1.年俸制の残業
・年俸制であっても時間外、休日、深夜労働には割増の賃金を支払わなくてはなりません。管理監督者には、深夜労働に対する割増賃金の支払が必要です。


□計算方法
・年俸額の1/12が月額賃金となる
・月額賃金を1ヵ月の所定労働時間で割った1時間の単価に時間外の割増率を乗じて時間外の単価を算出する


 【計算例】   
 年俸600万、1ヵ月の所定労働時間が170時間の労働者が1ヵ月20時間の残業を行った場合


 600万円÷12=50万円
 50万円÷170時間×1.25×20時間H → 73,530円(1円未満切上げ)となります。


2.賞与について
・支給額が確定していない賞与は割増賃金の基礎となる賃金に算入されませんが、支給額が確定しているものは賞与とはみなされません。年俸制で賞与部分も含め年俸額が確定している場合の「賞与」は、上記の賞与には該当しません。従って賞与部分も含めた年俸額を基に割増賃金を計算し、支払う必要があります。


3.年俸に残業代を含めることについて
・年俸に定額の割増賃金を含めて支給することも可能です。実際の時間外労働に対し定額の割増賃金が不足する時は、その不足部分を支払わなくてなりませんので、割増部分とそれ以外の部分(時間・金額)を明確にして、計算ができるようにしておくことが必要です。


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