労働時間等設定改善法の概要

 今年の3月31日に時短促進法が廃止され、「労働時間等設定改善法」が4月1日から施行されました。これに伴い「労働時間等設定改善指針」が定められています。本日はその概要についてお話したいと思います。


■背景
 時短促進法が施行される直前の平成3年度には、年間総実労働時間が2,008時間でしたが、平成16年度には1,834時間となり、年間平均の労働時間は短縮することができました。しかし、実態としては、労働時間短縮の原因は、主に短時間労働者が増加した結果であり、正社員等の労働時間は短縮していません。労働時間が長い者と短い者の割合が共に増加し、労働時間の長短ニ極化が進展しています。その結果、長時間労働者の脳・心臓疾患に係る労災認定件数は、年々多くなっています。また、急速に少子高齢化社会となった為、労働者の意識・家庭環境は多様化しており、希望する勤務形態も多様化しています。


■労働時間等設定改善指針
 労働時間等の設定の改善に関する基本的な考え方としては、労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへ改善することが重要となります。労働時間の短縮と多様な事情への配慮と自主的な取組を進めていくことが基本とされます。


 事業主等が構ずべき措置としては、以下の点が挙げられています。
(1)実施体制の整備
   1.実態の把握
   2.労使間の話合いの機会の整備
   3.個別の要望・苦情の処理
   4.業務の見直し
   5.労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画
(2)労働者の抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間等の設定
(3)年次有給休暇を取得しやすい環境の整備
(4)所定外労働の削減
(5)労働時間の管理の適正化
(6)ワークシェアリング、在宅勤務等の活用
(7)国の支援の活用


 特に配慮が必要とする労働者としては、
(1)特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者
(2)子の養育又は家族の介護を行う労働者
(3)妊娠中及び出産後の女性労働者
(4)単身赴任者
(5)自発的な職業能力開発を図る労働者
(6)地域活動等を行う労働者
とされています。


 そして、同一業種・同一地域企業間、取引先の事業主等と協力して、労働時間の設定の改善を進めることとされています。


 また、労働時間等設定改善の労使間の話合いの機会として「労働時間等設定改善委員会」を設置することが努力義務とされています。「労働時間等設定改善委員会」は、一定の要件を満たした衛生委員会または安全衛生委員会でも可とされています。


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