複数の会社で勤務した場合の労働時間




 ある労働者が1日に、A会社で7時間勤務し、その後にB会社で3時間勤務しました(休憩時間を除く)。このような場合の労働時間と割増賃金は、どのように計算すれば良いでしょうか。



 労働時間は、事業場を異にする場合においても通算するとされています。このケースの労働時間は10時間であり、1日の法定労働時間は8時間ですので、上記の場合は、法定労働時間を超えた時間にその労働者を使用していたB会社に2時間分の割増賃金の支払いが生じることになります。


 また、「事業場を異にする」とは、労働者が1日のうち、甲事業場で労働した後に乙事業場で労働することを言います。この場合、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれるとされています。


 ここで問題になるのは、従業員本人が会社に複数就業を申し出ているかという点です。もし、複数の会社で勤務していることを知らなければ、たとえ割増賃金が発生していても、支払われないことになります。


 就業規則では二重就業を禁止していることが多く、たとえアルバイトをする場合でも会社の承認が必要とされることが通常です。また、従業員本人も不利になるという思いから、会社には申し出ていないケースが多いのではないでしょうか。しかし、近年の就業形態の多様化や会社の業績の悪化等で賃金が低下し、現実には複数就業を容認している会社が増えてきているのも事実です。昨年、「今後の労働契約法制の在り方」が報告され、労働時間法制の見直し等が挙げられています。今後は労働基準法の見直しも含め、複数の事業場で働く場合の労働時間の通算規定も議論されるところであり、どのようになるのか注目したいところです。



参考リンク
厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会 報告書」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/s0915-4.html
福島労働局「労災保険の通勤災害保護制度が拡大されます」
http://www.fukushimaroudoukyoku.go.jp/rousai/hosyo_tuukinsaigai.html


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