改正労働安全衛生法による長時間労働者の面接指導制度

 平成18年4月1日から施行されている労働安全衛生法(以下「安衛法」という)では、長時間労働への医師による面接指導制度(以下「面接指導」という)が注目されています。今回は、この面接指導における具体的な対応について取り上げましょう。



■質問
 安衛法が改正され、残業時間が多い労働者については医師の面談を実施する必要がある聞きました。どのような労働者に面談を実施する必要があるのでしょうか。また、面談を行った後の適切な対応について教えてください。


■回答
【結論】
 面接指導は時間外労働時間が100時間を超過し、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合に行わなければなりません。事業主は面接指導後に医師の意見を聴取し、事後措置の実施が必要になります。


【解説】
 面接指導は以下の2つの要件のいずれにも該当する労働者が申し出を行った場合に行う必要があります。
時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり100時間(※)を超える
疲労の蓄積が認められる
※休憩時間を除き1週間当たりの労働時間が40時間を超えた場合に、その超えた時間


 ただし、期日前1ヶ月以内に面接指導を受けた労働者等、面接指導が必要ないと医師が認めた者は除かれます。医師は労働者の勤務の状況および疲労の蓄積状況その他心身の状況について確認することになっています。その後、事業主が医師からの意見聴取を行い、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の事後措置が求められています。またこれらの他、面接指導の結果の規則を作成し、5年間保存する必要があります。


■まとめ
 この面接指導は、長時間労働による脳・心臓疾患の発症を予防することを主目的として制定されました。メンタルヘルス面への配慮も必要とされており、従来、通達レベルでの取り組みであったものが法律として明確にされたといえます。安全配慮義務が企業に対し強く要求される環境の中で、長時間労働の管理をこれまで移行に徹底すると共に、長時間労働者については医師による面接指導を積極的に行う必要があるといえるでしょう。



参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/index.html


(宮武貴美)


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