深夜時間勤務アルバイトの時給設定時の注意点

[相談]
 夜間のアルバイトを雇用していますが、昼間のアルバイトに比べて時給を高めに設定しています。しかしある日、アルバイトから「深夜割増が支払われていないとのクレームがありました。高い時給を支払ったうえに、さらに割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。



[回答]
 午後10時から翌日の午前5時までの間に労働させた場合には、その時間が8時間以内であっても深夜時間勤務に対する割増賃金を支払わなければなりません。しかし、ご質問のように深夜割増を含めた時給を定め、これにより深夜時間の労働時間について賃金を計算していれば、さらに割増賃金を支払う必要はありません。例えば通常の時間帯の基本時給が1,000円の場合、深夜の時間帯の時給を1,250円と設定しているのであれば、2割5分増の設定となっているため問題はありません。


 ただしこの場合、本人には割増賃金相当額が明確に区別できる状態にしておく必要があります。つまり、労働基準法上の所定の方法で計算された賃金であることが確認でき、割増賃金相当額と通常の賃金が明確になっていることが必要なのです。しかし、割増賃金と通常支払われる賃金が区別されていても、通常支払われる賃金が最低賃金を下回ったり、昼間労働者の時給とのアンバランスが著しい場合、賃金の不払いの問題が発生する可能性がありますので注意が必要です。


 いずれにせよ、労働契約を結ぶ際に労働契約書や労働条件通知書に深夜割増分を含む金額設定であることを明示し、お互い労働条件を十分確認しておくことで、このようなトラブルは避けることができるでしょう。



参考リンク
大阪労働局「時間外、休日及び深夜の割増賃金」
http://osaka-rodo.go.jp/joken/rokiho/jikan/rokiho37.php
参照条文
労働基準法第37条第3項(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。


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