成果主義色が強まる賞与制度の運用状況

 先日、日本経済団体連合会から「2005年夏季・冬季「賞与・一時金調査結果」の概要」という資料が発表になりました。この調査は50年以上も前(1953年)から行なわれているものですが、今回は日本経団連企業会員会社および東京経営者協会会員会社2,036社が対象で、うち335社の回答を集計したものになっています。


 これによれば昨年の非管理職の平均賞与支給額は、夏季が745,362円(対前年同期比プラス5.4%)、冬季が76817円(対前年同期比プラス5.1%)で、ともに5%台の非常に高い上昇となっています。また管理職の平均賞与支給額は、夏季が1,417,085円(対前年同期比プラス7.5%)、冬季が1,386,446円(対前年同期比プラス6.2%)という結果になり、管理職については非管理職と比べ、更に高い伸びを見せています。これは管理職を中心に業績連動の報酬制度の導入が進められたことが大きく影響していると推測されます。


 それでは以下では、賞与制度の運用に関するいくつかのポイントについて、その結果をご紹介しましょう。
配分状況
 賞与支給額の配分状況は、非管理職に比べ、管理職の考課査定分の割合が多くなっていることが分かります。非管理職の支給額配分は「定率分」53.5%、「考課査定分」が29.9%、「定額分」が14.8%となっていますが、管理職の場合は「考課査定分」が50.6%と5割を超え、次いで「定率分」30.6%、「定額分」17.1%となっています。
考課査定の幅
 このように管理職について、賞与支給額算定における考課反映幅が広がっていますが、考課査定の幅についても拡大傾向にあるようです。賞与・一時金における考課査定の幅をみると、非管理職では「±10%以内」とする企業が全体の17.3%でもっとも多く、次いで「±15%以内」が14.3%、「±30%以内」が13.5%となっています。これに対し管理職では、「±30%以内」とする企業が全体の23.6%でもっとも多く、次いで「±20%以内」の13.9%となっています。これは基本的に理論値であり、このような大きな格差が付く社員というのは全体の数パーセントであると考えられますが、それでもこの拡大傾向は年々強まっているのは間違いありません。
賞与総額の決定方法
 近年、賞与において業績連動方式を採用する企業が増加していますが、賞与総額の決定方法で、業績連動方式を採用している企業は39.9%(前年35.3%)で過去最高となりました。その内容は「経常利益基準」の企業が87.1%と圧倒的で、その他では「生産高、売上高基準」が7.3%、「付加価値基準」が4.8%となっています。原資算出の透明性を高める上で、業績連動賞与制度は有効ですが、それ以上に自社の業績に対する関心を高める効果を見逃すことができません。




参考リンク
日本経済団体連合会「2005年夏季・冬季「賞与・一時金調査結果」の概要」
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/035.pdf


(大津章敬)


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