過労死の労災認定件数は前年度に比べ12.2%の増加

 先日、厚生労働省より「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成17年度)について」という資料が発表されました。これは脳血管疾患及び虚血性心疾患等(以下「過労死」という)および精神障害等の労災補償状況をまとめたものであり、平成13年度から毎年発表が行われています。


 まずはそのポイントを見てみることにしましょう。
■「過労死」等事案の労災補償状況
1)請求件数は869件であり、前年度に比べ53件(6.5%)増加
2)認定件数は330件であり、前年度に比べ36件(12.2%)増加
3)業種別では建設業、運輸業の請求、認定件数が増加
4)職種別では事務職の請求、認定件数が増加
5)年齢別では40~59歳の認定件数が増加
■精神障害等の労災補償状況
1)請求件数は656件であり、前年度に比べ132件(25.2%)増加
2)認定件数は127件であり、前年度に比べ3件(2.3%)減少
3)業種別では製造業、医療福祉業の請求件数が増加
4)職種別では専門技術職、事務職の請求件数が増加
5)年齢別では29歳以下、30~49歳の請求件数が増加


 平成13年度から平成16年度まで請求件数、認定件数ともに高止まりの傾向がありました。これに対し、平成17年度については過労死は請求件数・認定件数はともに増加していますが、精神障害等は請求件数は増加も認定件数は若干の減少という結果となっています。
 この結果の背景には過労死等に関する世間全般の意識の高まりと労災請求を行うことが比較的一般化してきたことが考えられます。各企業においては従業員の過労死やメンタルヘルスについて、今後一層実態に沿った対策が求められています。



参考リンク
厚生労働省「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成17年度)について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0531-1.html


(宮武貴美)


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