国民年金より支給される老齢基礎年金の受給要件

 先日来、全国の社会保険事務局での国民年金保険料の免除等に関する不正が明らかになりましたが、この免除等の措置によって影響を受けるのが、国民年金の加入期間であります。そこで本日は、国民年金のもっとも基本的な給付である老齢基礎年金の受給要件について取り上げてみることにしましょう。


 受給要件としては以下の2つが挙げられます。
加入期間(受給資格期間)が25年以上あること
 この期間には保険料納付期間だけではなく、今回問題となっている保険料全額免除期間および保険料半額免除期間、そして合算対象期間(カラ期間)が対象となり、これらの期間を合計して、25年以上あることが必要です。


※受給資格期間については以下の期間短縮の特例があります。
1)昭和5年4月1日以前に生まれた者はその生年月日に応じて保険料を納めた期間と保険料を免除された期間等の合計期間が21年から24年あれば受給資格期間を満たします。これは国民年金制度が発足した昭和36年4月に31歳以上の者は25年という受給資格期間を満たすことが困難な場合があるためです。
2)厚生年金や共済組合の加入期間のある者で、昭和31年4月1日以前に生まれた者は、その生年月日に応じて、厚生年金や共済組合の加入期間が20年から24年以上あれば受給資格期間を満たします。
3)厚生年金や共済年金の加入期間のある中高齢者はその生年月日に応じて、男性では40歳以上(女性は35歳以上)の加入期間が、15年から19年以上あれば受給資格期間を満たします。


65歳に達していること
 65歳到達が支給の原則ですが、年金を受けるのに必要な加入期間を満たしている者は、60歳から65歳までの間で繰り上げて年金を受給することができます。この場合、支給開始年齢に応じて年金額が減額され、生涯減額された年金を受け取ることになります。逆に66歳以後の希望するときから受け取ることもできます。この場合は支給開始年齢に応じて年金額が増額され、生涯その増額された年金額を受け取ります。繰上げを選択した場合は障害基礎年金など他の年金の受給資格に影響が出てきますので、繰上げ・繰下げの選択は慎重にする事が必要です。



参考リンク
社会保険庁「国民年金保険料の免除等に係る事務処理に関する調査結果等について」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0530.html
社会保険庁「国民年金保険料の納付率(平成18年3月末現在)」
http://www.sia.go.jp/infom/press/houdou/2006/h060509.pdf


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