休憩時間中の怪我は労災?

[質問]
 従業員がお昼休憩に入るため、休憩室に行く途中の階段にて転んでしまい、足を骨折してしまうという事故が発生しました。休憩時間中の出来事なのですが、労災として取り扱われるのでしょうか?



[回答]
 お昼休みに休憩室に行くことは、事業主の支配下にある範囲内の行為であり、業務遂行性があると認められます。また階段から足を踏み外すことは、通常起こりうる可能性が高い災害だと考えられ、また昼食を取るために休憩室に行く行為は恣意性はないといえるので、通常の場合、特に問題なく業務上災害としての認定を受けられるでしょう。


 以下、休憩時間中の怪我について労災と認められるかについて一般的なお話をさせていただきます。
[業務遂行性]
 業務上災害かどうかの認定は、発生した災害について「業務遂行性」と「業務起因性」の双方が認められなければなりません。休憩時間については、従業員は労働から解放され自由な行動が許されているので、この時間に発生した災害は業務上災害と認められないのが一般的です。しかし、事業場やその事業場の施設の中にいる限りは事業主の管理下(支配下)にあると考えられるので、業務遂行性が認められることになります。
[業務起因性]
 業務起因性について見てみると、休憩時間中は業務を行っていないので、私的行為をとっているとして業務行為に起因するものとは認められません。休憩時間中に私的行為をとっていて発生した災害について業務上災害と認められるには、事業場施設に欠陥があったことに起因していることが必要です。今回の階段から足を踏み外して怪我をしたケースについては、発生時の状況や施設の欠陥などの点も勘案して判断がなされます。一般的には休憩室が従業員の共有の施設であり、休憩室に向かうには階段を使わざるを得ず、またお昼休憩は私的行為ではあるものの、通常ほとんどの従業員が取るものであることを考えれば、「労働者が事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したもの」と判断され、業務上災害の認定を受けられる可能性は高くなると考えられます。


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