改正高齢法に基づく雇用確保措置の実施状況
4月より高年齢者雇用安定法(以下「改正高齢法」という)が施行され、段階的に65歳までの雇用確保措置の実施が求められていますが、先週、厚生労働省より「改正高齢法に基づく高年齢者雇用確保措置の導入状況について」という統計資料が発表されました。これは300人以上規模企業全12,181社に対する雇用確保措置の導入状況を調査したもの。今日はこの調査から、改正高齢法への対応状況を見てみることにしましょう。
[95.6%の企業で改正法対応が完了]
これによれば、改正高齢法に沿った雇用確保措置を導入済の300人以上規模企業は、全12,181社中11,641社、95.6%となっており、ほとんどの企業でこの対応が行なわれたことが分かります。この対応は多くの企業で3月ギリギリまで、あまり関心が高まらなかったという印象が強いため、これは予想以上の結果と言えるでしょう。もっとも問題は300人未満規模の中小企業なのかも知れません。
[雇用確保措置の上限年齢]
雇用確保措置の上限年齢については、導入済企業のうち、62~64歳を上限年齢とした企業が6,608社(56.8%)、定年の定めなしを含め65歳以上を上限年齢とした企業が5,033社(43.2%)となっています。この点についてはほとんどの企業が改正高齢法に定められる段階的な引上げを行なうと予想していましたが、スケジュールを前倒しして65歳以上への雇用確保を行った企業が多く見られたようです。
[雇用確保措置の内容]
雇用確保措置の内容については以下のようになっています。やはり90%を超える企業が継続雇用制度を選択しています。労働条件の見直しなどを考えれば、もっとも現実的な選択肢であると思われますが、一方で少数ではありますが60社が、この機会に定年の定めを廃止したというのが注目されます。
定年の定めの廃止 60社(1%)
定年の引上げ 733社(6%)
継続雇用制度の導入 10,848社(93%)
多くの地域で労働力不足が深刻化する中、今後は高齢者や女性といった労働力を如何に活用していくのかが、労務管理において重要な課題となっています。
参考リンク
厚生労働省「改正高齢法に基づく高年齢者雇用確保措置の導入状況について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0609-1.html
(大津章敬)
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