完全失業率 遂に4.0%に~本格的求人難時代の到来

完全失業率 遂に4.0%に~本格的求人難時代の到来 先週金曜日、総務省統計局より「労働力調査(速報)平成18年5月分結果の概要」が発表になりました。これによれば、5月の完全失業率は前月に比べ0.1ポイントの低下で4.0%(季節調整値)となりました。この4.0%という水準は平成10年4月以来、約7年半振りの低水準となっています。平成15年1月および4月に5.5%という史上最悪の水準をたたき出しましたが、その年の後半以降徐々に雇用状況の改善が見られ、今日に至っています。


 この結果をより詳細に見ると、雇用環境の回復が非常によく分かりますので、いくつかのポイントをご紹介しましょう。
□就業者数は6前年同月比13万人増の448万人。13か月連続の増加。
□雇用者数は前年同月に比べ78万人の増加。15か月連続の増加。
□産業別就業者はサービス業、製造業、運輸業、「医療,福祉」および「卸売・小売業」で前年同月比増加。農林業、建設業、「飲食店,宿泊業」は減少。
□完全失業者数は前年同月比30万人の減少277万人。6か月連続の減少。
□求職理由別にみると,前年同月に比べ「勤め先都合」が9万人の減少,「自己都合」が14万人の減少。


 このように産業別では産業構造の変化もあり、一部就業者数が減少している産業もありますが、それを除けばすべての数値が改善の方向に向かっており、雇用環境の急速な回復を窺わせます。


 また同時に厚生労働省から発表された「一般職業紹介状況(平成18年5月分)」も見てみましょう。これによれば、平成18年5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.03ポイントプラスの1.07倍、正社員有効求人倍率も前年同月比0.05ポイント0.57倍となり、求人倍率も急速に高まってきています。こちらについても、更に詳細なデータをいくつか取り上げてみましょう。
□5月の有効求人は前月比1.9%増/有効求職者(同)は1.2%減。
□5月の新規求人は前年同月比8.4%増。産業別にみると、教育,学習支援業(21.5%増)、飲食店,宿泊業(20.5%増)、医療,福祉(15.5%増)、サービス業(8.7%増)、卸売・小売業(8.5%増)、製造業(8.1%増)、情報通信業(7.9%増)、運輸業(1.9%増)は増加となり、建設業(4.5%減)は減少となった。
□都道府県別の有効求人倍率は、最高が愛知県の1.86倍、最低が青森県の0.42倍。


 このように都道府県別のばらつきは大きいものの、確実に求人難の時代が近付いていることが分かります。人材不足が企業の成長を阻害する危険性が高まる中、いまから自社の人材ポートフォリオを考え、最適な人材ミックスと、魅力ある職場作りを進めていく必要がありそうです。



参考リンク
総務省統計局「労働力調査(速報)平成18年5月分結果の概要」
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm
厚生労働省「一般職業紹介状況(平成18年5月分)」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/ippan/2006/05/index.html


(大津章敬)


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