急速な改革が進められる大企業の企業年金制度
先日、厚生労働省より「平成17年賃金事情等総合調査」の結果が発表されました。この調査は、中央労働委員会が行う労働関係の調整の参考とするため、資本金5億円以上・労働者1,000人以上の会社を対象に行われたものですので、基本的に大企業の賃金制度等の調査となります。その中から本日は企業年金制度に関する部分を取り上げてみましょう。
退職金制度の採用状況を見ると、「退職一時金制度のみ」が10社(4.4%)、「退職年金制度のみ」が20社(8.8%)、「退職一時金制度と退職年金制度の併用」が198社(86.8%)となっています。これは調査対象が大企業中心であれば当然の結果でしょう。私が少し驚いたのは、企業年金制度を持つ企業が実際に採用している年金制度の種類とその移り変わりです。以下は平成15年と17年の各年金制度の採用状況になります。
平成15年 平成17年
年金制度採用企業 266社 → 218社(△ 48社)
適格退職年金 162社 → 104社(△ 58社)
非適格年金 8社 → 4社(△ 4社)
厚生年金基金 114社 → 6社(△108社)
確定給付年金 14社 → 111社(+ 97社)
確定拠出年金 18社 → 55社(+ 37社)
数年前に確定拠出年金法・確定給付企業年金法という企業年金制度に関する大きな法律の制定が行われたこと、運用環境の低迷による厚生年金基金の代行返上などが進んだことなど様々な要因はありますが、この結果からはこの2年間で、厚生年金基金+適格退職年金という旧世代の企業年金制度から確定給付年金+確定拠出年金という新世代の年金制度への世代交代が一気に進んだということが言えるのではないでしょうか。一方では平成24年3月で廃止が決定している適格退職年金制度の改革が2年間で約3分の1しか減少していないというデータは、同時に企業年金制度改革の難しさを表しているようにも思います。
参考リンク
厚生労働省「平成17年賃金事情等総合調査」
http://www.mhlw.go.jp/churoi/chousei/chingin/05/gaiyou.html
確定拠出年金法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO088.html
確定給付企業年金法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO050.html
(大津章敬)
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