年々深刻化する企業のメンタルヘルス問題
本日、財団法人社会経済生産性本部より「『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果」という資料が発表されました。これは全国の上場企業2,150社を対象にメンタルヘルスの状況および取り組みについて調査したもの。2002年、2004年に続き、3回目の調査になりますが、年々、メンタルヘルスの問題が深刻化している状況が良く分かりますので、そのポイントをご紹介しましょう。
心の病の増減傾向
最近3年間の心の病の増減傾向の質問を見ると、以下のように「増加傾向」と回答する企業が急増し、61.5%にも達しています。
2006年:増加傾向(61.5%) 横ばい(29.4%) 減少傾向(1.8%)
2004年:増加傾向(58.2%) 横ばい(25.0%) 減少傾向(1.9%)
2002年:増加傾向(48.9%) 横ばい(24.8%) 減少傾向(3.5%)
心の病の最も多い年齢層
次に心の病の最も多い年齢層の質問については、以下のように40代、50代が減少する一方で、30代が急増していることが分かります。
2006年:10~20代(11.5%) 30代(61.0%) 40代(19.3%) 50代以上(1.8%)
2004年:10~20代(10.4%) 30代(49.3%) 40代(22.0%) 50代以上(5.6%)
2002年:10~20代(13.1%) 30代(41.8%) 40代(27.0%) 50代以上(9.6%)
1ヶ月以上の休業者の有無
多くの企業で心の病による休業者が増加していますが、1ヶ月以上の休業者の有無に関する質問に関しては、年々「いる」と回答した割合が急増し、2006年については74.8%となっています。
2006年:いる(74.8%) いない(21.6%)
2004年:いる(66.8%) いない(30.2%)
2002年:いる(58.5%) いない(37.2%)
このようにメンタルヘルスの問題は年々深刻化し、いまや企業の労務管理における最大の懸案事項となっているといっても過言ではないでしょう。この問題を解決するためには、過重労働の防止や管理職の教育などが重要となりますが、本質的には職場内コミュニケーションを増加させ、相互に助け合うなどの組織風土の醸成が急務となっています。
参考リンク
社会経済生産性本部「『メンタルヘルスの取り組み』に関する企業アンケート調査結果」
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20060728-1.html
(大津章敬)
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